疲労の原因物質は「リン酸化eIF2α」—— 。疲労のメカニズムについて、慈恵医大による新たな研究結果が示された。唾液中のヘルペスウイルスの量で疲労の有無や度合いを測る方法も解明されており、疲労研究は飛躍的な進展を遂げている。疲労に関する消費者の意識調査では、8割が「疲労感がある」「睡眠に満足していない」と回答、“疲労大国日本”の現状が浮き彫りとなった。疲労をテーマとする機能性表示食品の開発は活況を呈しており、販売中の最終製品は約200アイテムに(11月19日現在)。「日常生活や運動で生じる疲労感軽減」「睡眠の質向上や起床時の疲労感軽減」「日常生活で生じる一時的な活気・活力の低下軽減」など、疲労に悩む現代人に対応した商品に注目が集まっている。
慈恵医大、疲労の原因物質を発見 解明進む疲労メカニズム
疲労の原因物質(リン酸化eIF2α)はタンパク質の合成を担うタンパク質合成因子(eIF2α)がリン酸と結びつくことで生成される―― 。東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の近藤一博教授が率いる研究チームが新たな研究結果を発表した。
この疲労物質の発見は世界初。疲労のサインを脳に伝える炎症性サイトカインを発生させるほか、肺や脳といった各臓器の機能低下を生じさせるという。
疲労を測定する従来の方法はVisualAnalogue Scale(VAS)検査で、いわば個人の感覚だった。同研究チームでは唾液中のヘルペスウイルス(HHV 6、HHV 7)の量で疲労の有無や度合い測る方法(慈恵医大の特許技術)も発明、疲労研究に新たな道を開いた。
近藤教授は本紙取材に対し、「酸化ストレスで炎症性サイトカインが生成されると、それが脳に伝わって疲労感の原因となる。抗酸化物質は肝臓の炎症性サイトカイン産生のみ抑える性質をもつため、酸化ストレス抑制のみでは臓器の機能低下は戻らない。つまり、抗酸化食品の摂取で“疲労感”は軽減されるものの、心臓や腎臓、肺などの“疲労”はそのまま残ってしまう」と指摘。
疲労感と疲労は乖離していることを理解する必要があるという。「疲労感(生体アラーム)は身体の危険を知らせる役割をもつため、生体アラームのスイッチだけを切って無理するのはよくない。休息と睡眠もしっかりとることが重要になる」という。一方…
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