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トクホ市場、5,850億円に(新年号/市場総括・展望)

トクホ市場は、5,850億円(前年比7.1%減)となった。機能性表示食品が急拡大する一方、話題となる商品は少なく、厳しい環境下が続く。市場の約3割を占める飲料は、機能性表食品が増えたことに加え、天候不順や、コロナ禍で緊急事態宣言・まん延防止等の期間が長引き、店販チャネルの販売が振るわなかった。乳製品トクホは、2020年の特需の反動を受け、販売量は下回った模様だが、高い位置で推移していることに変わりない。長引く巣ごもりでは、内食率が高まり、家庭用調味料では二ケタ増を達成した事業者も。一方、消費者庁では、疾病リスク低減表示における関与成分の拡充や、許可文言の柔軟性などについて具体的な検討を開始した。トクホ離れが進み、トクホから機能性表示食品へのスイッチ品も増える中、運用30年が経つトクホ制度が転換期を迎えている。

年間許可件数16品、進む“トクホ離れ” 疾病リスク低減トクホの拡充検討、期待薄!?

トクホの表示許可件数は年々減っている。2017年以降、年間の表示許可件数は、50品を下回る。昨年1年間の表示許可件数は、2020年の表示許可件数より上回ったが、僅か16品だった。

表示内容が決められていることや、表示許可までに掛かるコスト、時間の長さなどからトクホ開発の動きが鈍化。ある食品受託試験事業者は「トクホに関する新規の臨床試験依頼はほとんどない」と話す。

トクホ販売メーカーからは「健康機能や安全性は国が審査しているので信頼性は高い。

しかし、申請から発売までの時間が長く、トレンドにあった商品開発が難しい」「機能性表示食品はトクホにない出口戦略を見据えた開発、マーケティングができる」「トクホの価値を改めて感じてもらうには、両制度の違いを理解してもらうことが必要」「機能性表示食品と比較して魅力的な部分がないと、トクホ開発の選択肢が出てこない」など厳しいコメントが聞かれた。

こうした中、消費者庁では昨春に「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する今後の運用の方向性」を公表。現在、疾病リスク低減表示として認められているのは「葉酸と神経管閉鎖障害」「カルシウムと骨粗鬆症」の2つのみ。

むし歯リスク低減の可能性や、葉酸、カルシウムにおける許可文言の柔軟性などについて具体的な検討を始めた。委託先の国立健康・栄養研究所では、「年度内に調査報告を消費者庁に提出する」としている。

機能性表示食品とは明確な差別化ができることから市場の起爆剤として期待される一方で…

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