北京オリンピックで大きくクローズアップされたロシア・ワリエワ選手のドーピング問題。検出された薬物は、血管を拡張し、持久力向上や疲労回復が期待されるトリメタジジンだった。各国で大々的に報道され、サプリメント業界への余波を懸念する声もあったが、本紙取材では、「影響はない」とする企業がほとんどだった。逆に、アンチドーピングの重要性が再認識され、認証取得の動きがさらに広がりつつある。
中国北京で開催された冬季オリンピックが2月20日に閉幕した。日本チームは、歴代最多となる18個のメダルを獲得。連日、報じられる母国選手の躍動は、コロナや紛争で欝々しい日々を過ごす世界中の人々を少なからず勇気づけた。
一方で、ROCのカミラ・ワリエワ選手のドーピング疑惑は、大会に暗い影を落とした。検出された「トリメタジジン」は、狭心症や心筋梗塞など心臓系疾患に使われる薬物。血管を拡張することで、持久力の向上や運動後の筋肉の回復が早くなる可能性があり、世界アンチドーピング機構によりドーピング成分に指定されている。
同選手からはトリメタジジンのほかに、L-カルニチン、ハイポクセンも検出されている。これに対し、米国アンチドーピング機関は、「持久力を高めて疲労を軽減し、酸素を効率的に取り込むことを狙った組み合わせに見える」とコメント。実態は定かではないが、禁止薬物とサプリメントのカクテル使用が懸念されている。
L-カルニチンはスポーツサプリとして人気の高い成分。アスリートが摂取しても問題はないが、「禁止薬物とのカクテル使用で名前が挙がり、市場へのダメージに繋がるのでは」(サプリメーカー)との懸念が一時浮上した。
血管や血流に働きかける健食素材は少なくない。「血管の拡張度」「血流の増加度」など血管がヘルスクレームに含まれる機能性表示食品も受理されており、疲労感軽減や持久力向上が確認されている素材も見られる。
もちろんこれらは食品に該当する成分であり禁止薬物には当たらない。本紙の取材では…
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