『ブルーベリーアイ』を展開する健食通販メーカー㈱わかさ生活(京都市下京区)。ビルベリー市場を開拓したパイオニアであり、顧客数は全国350万家族に達している。ここ数年は、コロナの影響からサプリの売上は縮小傾向にあるが、他社とのコラボ商品の開発が加速しており、原料OEM分野での展開に広がりが出ている。角谷建耀知社長に話を聞いた。
ブルーベリーの魅力は?
ブルーベリー以外にも目に良い素材は、沢山ある。私たちが『ブルーベリーアイ』を始めたころは、黒酢やニンニク卵黄、梅など昔ながらの伝統食品が好まれる時代だったので、「海外の素材は受け入れられない」とよく言われた。
ただ私自身、18歳の時、脳腫瘍で右半分の視野を失ったこともあり、眼の悩みを解決したい、社会貢献したいという気持ちは人一倍強かった。世界には日本人の知らない健康食品がまだまだ眠っている。そういう想いから色んな国に足を運び自分で見て、食べて、話を聞いた。
当時、日本人の殆どがブルーベリーを知らなかった。流通していたのは、せいぜいジャムとガムくらい。調べてみると、世界には約150種類のブルーベリーがあり、とりわけ北欧産「ビルベリー」が良いと知った。フィンランドで実際に食べてみると、これはすごく良いとすぐに実感できた。
そこから『ブルーベリーアイ』を開発して、今年で24年目を迎えた。いまだに何年も続けてくれているお客様が、何万人といらっしゃる。私達は、そういう方を裏切れないと思い、ほぼ毎年、商品をリニューアル行い、効果的な配合比、成分の組み合わせ、吸収性を高めるナノ化(超微細化)等に取り組んできた。あまり公表していないが、宣伝広告費と同じ位の研究費をかけてきた。こういう良いものを追い求める姿勢が、お客様に信頼され、受け入れられたのだと考えている。
コロナ禍で売上への影響は?
最近は類似商品も増えており、「他社のシェアが伸びているが、どう思うか?」と聞かれることも多い。正直、サプリの売上はあまり好調とは言えない。
ただ、私たちはそもそもビジネス的に『ブルーベリーアイ』を製品化したわけではなく、売上の勝ち負けはあまり考えていない。そこを追求するというより、見るべきなのは、約40万人のお客様。その人たちに、より良いものを届けたいという気持ちが強い。
私たちと他社さんの大きな違いは、お客様との距離の近さにあった。毎年、1000人規模の交流会を続け、お客様の声に耳を傾けてきた。コロナのせいにしたいわけではないが、ここ数年はお客様の声を拾うのが難しかった。現在は、社内の組織体制を変えて、『ブルーベリーアイ』をメインとしつつも、脳機能や美容訴求のサプリの提案にも力を入れている。
あと、今回のロシアのウクライナ侵攻は、今までにない位の大きな問題だと思っている。特に、怖いのは放射能汚染だ。『ブルーベリーアイ』発売当初も、チェルノブイリ原発に近い北欧産のビルベリーという事で、放射能に関する問い合わせは多かった。風の方向として、フィンランドに影響が出ることも懸念される。今後の状況次第では、他地域のビルベリーへの切り替えも視野に、原料メーカーと話し合いを進めていく。
他企業とのコラボ商品の開発は?
4~5年前から、新たな取り組みとして、原料・OEM事業に力を入れている。最初は苦戦することも多かったが、最近は酒造、清涼飲料水、製菓など、多くの企業から声をかけていただけるようになった。彼らは、私達にはない工場や販売網を持っており、そこに「わかさ生活」という健康イメージが掛け合わさることで、良いシナジーが生み出されている。
有難いことに、コラボ商品が直ぐに完売して、シリーズ化するケースも少なくない。先月は『ブルーベリーの恵みチューハイ』(宝酒造)、『ブルーベリーアイ+』(エルビー)が発売された。ここまで順調に進むとは正直、予想していなかったので本当に嬉しい。ドラッグストアで飲み物を手に取ったら、パッケージにわかさ生活と書いてある。なんだか健康に良さそうだと、いう事でSNSにアップされることも増えている。
勿論、事業戦略上も、仕入れ先の原料メーカーとの取り決めがあるので、サプリの売上が落ちている部分を原料・OEM分野で補うことは、非常に重要だと考えている。
機能性表示食品への取り組みは?
私達は、特に効果効能を全面に押し出して、伸びてきたわけではないが、機能性表示食品への対応について、バイヤーに求められることも増えた。売上の面でも、機能性表示食品の『ブルーベリーアイ PRO(プロ)』や『60代からのあたまサプリ』などは、前年比120%以上で推移している。
また、「言葉を通じて健康をサポートする」をテーマに書店でのサプリ販売も進めている)。現在、京都と愛知に3店舗を設け、機能性表示食品と関連性の高い書籍の紹介している(写真)。私たちは20年近く、自社で作った商品しか販売しない主義を貫いていたが、現在は、魅力的な商品であれば、他社品であっても積極的に販売している。
定期購読のお申し込みはこちらから(オンラインでの閲覧も可能です!)
受託製造企業ガイドブック2022年版」 好評販売中■