世界的なEC利用者の増加と共にサプリ・化粧品の「模倣品」問題も見逃せないほど大きくなってきている。無断でブランド名を使用するなど商標権を侵害する物から、商品名を少し変えた紛らわしいもの、デザインや配合を模倣する物まで様々だ。「激安・偽物」などとして堂々と販売するケース、海外の悪質なOEM企業が特許権を無視して製造するケースもあり、事態は複雑化している。
OECDによると、模倣品の流通額は全世界貿易額の3.3%を占め約55.4兆円の一大「市場規模」となっている(2016年)。日本で被害を受けた企業は1万1,643社に上り、もはや全ての販売メーカーにとって見逃せない問題だ。
経産省の調査によると、模倣品被害の相談件数が多い国は中国、韓国、ベトナム、台湾、シンガポール、タイ、マレーシア等となっている。
日本企業の被害は相次いでいる。資生堂の『アネッサ』日焼け止めクリームは中国やASEAN諸国で人気だが、模倣品が中国内外で広がった。
中国内の販売企業が摘発されたが、正規品と誤解した消費者による低評価の口コミがアップされるなどブランドへの被害は甚大だ。
また、国内外で人気のナットウキナーゼサプリの例ではパッケージを模倣し、製品名を若干変えた製品が中国やアジア地域で流通した。偽造防止のフォログラムシールまで偽造しており悪質だ。
ほかにも有名ヘアカラーブランドの例では、巧妙にコピーした模倣品が中国やアジアに広がり、遠くは南米、アフリカでも発見されたという。
各国で対策も進む。インドネシアでは特に2021年頃から、越境ECで中国製を中心に模倣品が多数出回るようになり問題化。政府機関を横断したタスクフォースを設置し取締りを強化する。
ECプラットフォームへも協力を呼び掛け、現在ほとんどのプラットフォームで越境ECの新規受付を停止。代わりに国内法人を介した代行出品が行われている。
中国でも模倣品は社会問題化している。中国における知的財産権分野の民事訴訟件数は、2015年の10万9,386件から2020年には44万3,326件に増加した。中国での模倣品問題の本質は「世界の生産拠点」となっていることにある。
中国で生産された模倣品はECで、ASEAN、アジア、インドへと広がる。
模倣品対策を進めるJETRO知的財産課の担当者は、「ECの拡大とともに中小企業も被害を受ける例が増えている。模倣品を見つけた場合に放置していると、とくに健康食品や化粧品では健康被害にも結び付きかねず、正規品の信用を失うことになる」と注意を呼びかける。
被害の回復のためには、調査を行い訴訟することが基本となる。訴訟には大きな費用がかかるが…
続きは本紙で。定期購読のお申し込みはこちらから(オンラインでの閲覧も可能です!)
■「受託製造企業ガイドブック2022年版」 好評販売中■