業界注目のエイジングケア成分NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)。一昨年の非医薬品リスト追加を受けて、注目度が一気に上昇。大手ブランドの参入もあり、国内でも徐々に市場形成が進んでいる。原料相場もキロ当たり10~15万円台まで下がり、カプセル、顆粒、錠剤、チュアブル、ドリンクなど様々な新商品が上市されている。主たる購入層は、美容目的の中高年女性だが、フレイル対策、抗肥満、血糖値抑制などのエビデンスが蓄積されたこともあり、男性や若年層にも浸透が見られる。新規素材だけに「話題先行でエビデンスが少ない」「安全性に疑問が残る」という指摘もあるが、昨年は国内外の研究機関により、継続摂取に対しての安全性、歩行能力、握力、聴力スコア、持久力の向上、血糖値、インスリン値の改善効果に関する臨床データが相次いで発表された。ブームを裏付けるエビデンスの蓄積こそが、NMNがサプリメント市場に定着するための鍵となりそうだ。
中国メーカー製が9割以上 化学合成品は、抽出溶媒の確認マスト
NMNは、ビタミンB₃群に属する機能性成分だ。2015年頃から、中国や米国の富裕層を中心に「若返りビタミン」として注目を集め、エイジングサプリへの利用が広がっている。
日本でも、NHKや民放各社のニュース番組、週刊誌、ビジネス誌などで特集が組まれ、実業家の堀江貴文氏、YouTuberの中田敦彦氏、モデルの益若つばささん等NMNファンを公言する著名人も少なくない。
NMNは、ニコチンアミドリボシドクロライド(NR)を基原料とし、化学合成法もしくは酵母発酵法にて製造されるケースが一般的だ。今のところ、両者を比較して効果の有意差を比較したデータは確認できず、値段にも大きな差は見られない。
化学合成法では、NRとL-リボーステトラアセテート等の化学物質を反応させて、合成したNMNをリン酸化している。生産性の高さにメリットがあるとされるが、抽出溶媒に日本では非食品に該当する化学物質が用いられる場合もあり、輸入時はメーカーへの確認がマストだ。
酵母発酵法では、ビールやホップなどの酵母菌をNRと一緒に発酵させることで、NMN酵素を精製する。イメージの良さに加えて、化学物質がコンタミするリスクが少ない点がメリットになっている。
現在、国内で流通するNMN原料の9割以上は、誠信薬業社、シンコザイム、EffePharm(音芙医薬社)など中国メーカー品が占めている。原料サプライヤーは、現地企業と直に契約するか、中国や香港のディーラーを通じて、NMNを輸入するケースが多い。
一部では、純度の低い粗悪品も流通も見られるため、原料を購入する際には、トレーサビリティ、第三者分析機関による純度の分析結果を求めることが重要だと言える。
また、NMNはかさ密度が低く、加工時に原料ロスが生じやすいため、日本の工場で造粒加工するケースも多い。これまでNMNサプリの多くは、ハードカプセルが主流だったが、加工適正に優れた原料が登場したことで、顆粒、錠剤、チュアブル、ドリンクなど剤形のバリエーションが広がった。さらに…
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