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THC濃度基準の議論進む 市場の本格形成に期待感(特集/CBD)

近年、麻由来の機能性成分であるCBDを配合した健康食品、化粧品が増加している。海外では、ゴールドラッシュならぬグリーンラッシュと呼ばれる急速な市場形成が進展。日本でも2018年頃からオイル、飲料、カプセル、製菓類などの上市が見られ、緊張の緩和、睡眠の質向上、抗炎症、認知機能改善などを目的に利用が広がりつつある。一方で、麻にはTHCと呼ばれる規制成分が含まれており、日本にCBD製品を輸入する際にTHCを除去することが求められる。現行法では、麻の抽出部位による規制が行われているが、成分規制への切り替えに向けた議論も。今年6月に開かれた厚労省の大麻規制検討小委員会では、THC濃度基準に対する言及もなされた。明確なルール作りが進展することで、日本でのグリーンラッシュ到来に期待が高まる。

海外では、麻品種の証明が一般的に

CBDは、麻科の植物に含まれるフィトケミカルの一種。近年、健康食品や化粧品、医薬品などに利用が広がっている。

麻にはCBD以外に、THC、CBN、CBGなど数百種類のフィトケミカルが含まれている。これらは、カンナビノイド類と呼ばれ、麻の花穂、葉に多く、茎、根、種子にも微量、存在している。

カンナビノイドは身体に摂取されると、ECS(エンドカンナビノイドシステム)と呼ばれる神経伝達機能に作用し、様々な効果を生み出す。

マリファナの主成分であるTHCは、ECS内のCB1受容体と強く結合することで、陶酔感や多幸感等の精神作用を引き起こすため、日本を含めて多くの国で使用が制限されている。

一方、CBDはCB1受容体との親和性が弱く、過剰な神経伝達物質の伝達を抑える効果があり、緊張の緩和、睡眠の質向上、抗炎症、認知機能改善などの機能性を発揮する。

また、脳血管と脳細胞の間にある血液脳関門を通過し、脳の神経伝達を正常化するという研究成果も報告されている。

今年6 月には、厚労省所管の医薬基盤・健康・栄養研究所が公開する健康食品素材情報データベースにも収録された。

麻は100種類以上の品種が存在する。マリファナに分類されるCannabis Sativa sspsativa、Cannabis Sativa ssp indica等の品種は、THCの産生量が多い。一方、もともとTHCがほとんど含まれない品種はヘンプと呼ばれている。

日本に先行してCBD市場が形成される欧米では、THCの濃度基準を設定している国が多く、これをクリアした品種のみが産業用ヘンプとして栽培できる。

米国では2018年に農業法が改正され、THC濃度0.3%未満の麻を産業用ヘンプに指定。昨年1 月には濃度基準が1.0%まで引き上げられた。

海外では健康食品、医薬品向けにCBDを利用する場合、ヘンプ由来CBDが使用されるケースが多く、マリファナからTHCを除去したCBDが使用されることは少ない。

それぞれのCBDの効果に関する臨床データは確認されていないが、CBD濃度はヘンプ由来品が優れている。そのため、海外のCBDメーカーはTHC除去に加えて、麻の品種を証明することが一般的となっている。

成分規制のルール作りに向け議論

日本では、現行の大麻取締法に則り、麻の花穂、葉、未成熟の茎から抽出したCBDは大麻に該当するため使用できない。

そのため成熟した茎や種子から抽出したCBDのみが利用されている。またTHCの濃度基準はなく、僅かでもTHCが含まれれば違法となる。

CBD製品を輸入する際は、麻の成熟した茎または種子から抽出・製造されていることを示す証明書、分析方法及び検出限界値(LOD)、分析機関・分析実施者の署名入り成分分析書、原材料となる茎等の全体像、製造に使用した機器が把握できる写真を厚労省に提出することが求められている。

法改正に向けた議論も進められている。厚労省は…

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