中国市場では、越境EC市場が急拡大するとともに問題も生じている。市場では口コミやKOLマーケティングが重視されるが、「営利企業の宣伝よりも、一般の利用者や有名人の意見が信頼される」という中国の消費者の考え方を悪質業者が逆手に取り、偽装口コミや、不正アカウントによるKOLのフォロワー数水増し、ライブ販売の売上数水増しなどの問題が表面化した。このほか、「模倣品」による被害も広がっている。
中国市場では、消費者がECサイト等で購入する際、購入ボタンを押す前に一度サイトを離れ、口コミを確認することも多い。
そのような中で生じている問題が「偽装口コミ」問題だ。報酬によって利用者でない人に書き込みをさせるほか、口コミを悪質業者が「乗っ取り」した無関係な人のアカウントや、不正に作成した「架空アカウント」から大量に書き込む例が増えている。
虚偽の情報を書かれた企業側の対策としては、サイトへの通報、削除申請が基本となる。
またKOLによるライブ販売が普及。化粧品、サプリなどの日本製品をKOLに販売委託するケースが増え、ライブ販売は販売チャネルとして欠かせない存在になりつつある。
販売力のあるKOLに販売委託が集中するため、商品紹介の表現も過熱化する。そのような中で問題となっているのが、「サクラ行為」や「規制を逸脱した宣伝表現」だ。
サクラ行為では、ECのシステムを悪用し、架空の注文で多数の購入記録を作ったり、高評価の書き込みをしたりすることで、優良なKOLであると誤認させる。
「宣伝表現」の問題は、サプリや化粧品に対して、効果・効能はじめ、中国の規制を逸脱した表現で販売してしまうこと。KOLの認識不足で問題となるケースもあるが、生放送では発言は修正できない。
この問題に中国でいち早く対策に乗り出したのが上海市だ。上海市市場監督管理局は7 月13日、ライブマーケティングのコンプライアンスに関する「手引き」を発表。
「健康食品、医療機器、医薬品など広告の事前審査を行うべき商品やサービスは、ライブ配信形式での販売を行ってはならない」としている。
中国市場に詳しい㈱ポリスターによると「上海等、大都市で初めに行われた規制が、反応をみた上で全国に広がる可能性もあるが、現状では予想し難い」という。
さらに、大手企業・有名ブランドのみならず中小企業にも被害が広がっているのが模倣品問題だ。特許庁によると、模倣品への相談件数は2018年の440件から、2021年には…
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