コロナ禍に伴う健康意識の高まりを背景に、健康食品の需要は拡大傾向が続いている。本紙上半期の健食受託市場調査では、44%の企業が増収に。関東圏の製造業は、全国的にも高い地価や人件費といったコストを踏まえ、事業存続のための生産性の向上が欠かせない。今回、関東圏にある健康食品受託メーカーの戦略にスポットを当てる。
関東圏の受託、経営状況「良好」は3割超 設備投資予定は52%
コロナ禍に伴い、健食需要の拡大が継続する中、受託メーカーでは、積極的な設備投資で攻勢を図っている。
本紙が実施した2022年上半期の健食受託市場調査では、経営状況が「良かった」(35%)、「悪かった」(13%)、「どちらともいえない」(52%)という結果に。ちなみに関東圏の受託企業でみると、「良かった」(29%)、「悪かった」(10%)、「どちらともいえない」(60%)となった。
「どちらともいえない」の自由回答では、「先が読めない」「物価上昇で売上増でも減益が避けられない」「既存案件の不安と新規案件の両方があるため」といった回答のほか、クオリカプスによるハードカプセルの自主回収について言及する企業も。
「明らかに伸びていたハードカプセル案件がとん挫しそう」「次回供給のメドが見えず、正直迷惑している」「簡単に代替できない」などのコメントがあった。
下期における設備投資の実施については、上半期調査で50%の企業が予定しており、関東圏だと52%が該当。
「製造設備の増強」が最も多く、自由回答による詳細では、人材不足を反映した製造設備の自動化を進める企業や、押出造粒機や錠剤分包機、給袋包装機など需要拡大案件を取り込むための機器を導入するケースなどがある。
「品質・衛生面の補強」では、カメラ検査機などコロナ禍を反映した補強が目立つ。
受託各社+αの戦略
健康食品の受託製造は、確かな原料、技術、設備を備えれば、海外拠点を含め、国内のどこでも、広域的かつ国際的な事業展開が可能だ。
関東圏の健食受託企業に工場を有するメリットについて聞いたところ、「主権近郊での国内製造」「物流網、交通の利便性が高い」「情報収集しやすい」「立地のブランド力がある」といった声が聞かれた。
奈良の大同薬品工業の群馬工場や、静岡のAFC-HDアムスライフサイエンスの千葉工場など、関東圏の産業集積の多様性を活かし、多品種・小ロット対応の製造ラインの再構築やリスクヘッジなどを図る関東圏外の健食受託メーカーによる工場稼働も見られる。
関東圏の健食受託メーカーでは、産業集積の多様性も活かしながら、顧客の悩みに自社の強みを掛け合わせる“イノベーション型”の提案が発展し…
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