長引く新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を背景に、免疫機能への関心は引き続き高まっている。特にこれから乾燥時期に突入することで、その意識はより一層高まると予想される。現在、免疫力を高めることを目的としたβ-グルカンの食品利用は世界的に拡大しており、海外調査会社の発表では約4 億ドル規模の市場が広がっているとされる。試算では2026年に6億ドル規模に拡大するとされ、“イミューンヘルス”としての引き合いはさらに強くなるという。国内でもコロナの影響によって免疫機能についての関心は高く、食品による免疫対策市場も徐々にではあるが認知されつつある。酵母や細菌由来のβ-グルカンは免疫領域での有効性が確認されており、今後の利用拡大に大きな期待が寄せられている。また、大麦由来のβ-グルカンについては、腸内環境改善やコレステロール低下作用を打ち出しており、機能性表示食品として関連商品が40品以上受理されるなど、こちらも今後の流通拡大が期待される。
イミューンヘルスサプリ グローバル市場6億ドルに
新型コロナウイルスが中国武漢で発見されてから、丸3 年が経とうしているが、未だその収束が見通せない状況にある。
こうしたコロナ禍で世界的にサプリメントの利用は拡大傾向にあり、特に免疫領域のサプリメントへの利用が拡大しているようだ。米国調査会社NBJが発表した2020年の米国サプリメントビジネスレポートによると、免疫に関連した製品は前年比9.3%と大きく成長しているという。
特に米国では免疫に関するヘルスクレームが早くから実現しており、“イミューンヘルス”として一定の認知がされている。なかでも酵母由来β–グルカンは免疫賦活素材成分として知られ、欧米では非常にポピュラーな成分となっている。
β–グルカンは、グルコース分子がグルコシド結合で重合した多糖類をグルカンと呼び、結合の仕方によってα–グルカンやβ–グルカンと分類される。酵母やカビ類に含まれるβ–グルカンは主鎖1 に分岐3 の分子構造を持つβ1 – 3グルカンと呼ばれ、1 – 6グルコシド結合による側鎖が形成されているのが特長。
体内のマクロファージや樹状細胞をはじめとした抗原提示細胞の膜表面にはβ–グルカン受容体が存在しており、β–グルカンを摂取する
ことで、受容体と結合し免疫賦活作用が期待できることがわかっている。
酵母由来β–グルカン(β–1,3/1,6グルカン)は、1940年代にパン酵母の細胞壁から発見された。60年代初頭から免疫システムに関する多くの有効性データが発表されたのを皮切りに、生体防御機能や腸管免疫機能に関連する多くの研究成果が発表されてきた。関連する化学レポートは週に50本以上ともいわれるなど、天然の免疫調節物質としてのエビデンスはトップクラスを誇る。
調査会社グローバルインフォメーションが発表した市場調査レポート「ベータグルカンの世界市場」によると…
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