納豆は、ナットウキナーゼ、ビタミンK₂(メナキノン-7)、納豆菌など栄養素の宝庫だ。これらを凝縮したサプリメントも数多く上市されており、血流改善、血圧調整、美肌、抗ロコモ、免疫賦活など様々な訴求が見られる。DHA・EPA、コラーゲン、GABA等と組み合わせて利用されるケースも多い。市場を牽引するナットウキナーゼは、血圧分野の機能性表示食品にも活用されており、9月15日時点で8社14品が受理されている。コロナ禍では、納豆サプリ市場を底上げしていたインバウンド需要が落ち込み、DgS、量販店、宣講販などの対面ルートの売上が縮小。対して、ECは比較的堅調で中国や台湾、東南アジア向けの輸出や越境ECが好調に推移している。また、ウイルスの不活性化やコロナ合併症の予防効果を示す論文も発表されており、国内外で納豆サプリへの期待が高まっている。
コロナ影響大、店頭ルートは苦戦
ヨーグルト、味噌、酢などと並んで、日本人に馴染み深い発酵食品、納豆。そのルーツは諸説あるが、縄文後期から弥生時代にかけて、中国大陸から伝わったという説が有力で、古くから貴族や武家の健康維持目的に食されてきた。
江戸時代には、一般庶民にも広く普及し、米や味噌汁とともに日本人の朝食の定番になった。納豆にはタンパク質、カルシウム、鉄分、イソフラボン、ビタミン類などが豊富に含まれている。さらに近年の菌活ブーム、発酵食品のイメージの良さから、健康目的で納豆を食べる人は多い。
調査会社のマイボイスコムが昨年11月に、約1 万人を対象に行なったアンケートでは、「普段から健康のために意識して摂取する発酵食品」として、納豆が1位(59.8%)にランクイン。次いでヨーグルト(53.7%)、味噌(32.1%)となった。
一方で、納豆特有の臭い、口触りが苦手な人も少なくない。脱臭技術による臭いを取り除いた加工食品や、納豆の栄養素を凝縮したサプリメントの利用も増えている。
主にナットウキナーゼ、ビタミンK₂、納豆菌の3 成分が活用されており、それぞれ血流改善、血圧調整、美肌、脳機能改善(ナットウキナーゼ)、血液凝固、骨代謝、筋肉疲労回復(ビタミンK)、免疫賦活、整腸(納豆菌)など、豊富なエビデンスが蓄積されている。
小林製薬をはじめ、オリヒロプランデュ、アサヒグループ食品、ヤクルトヘルスフーズ、ファンケル、ディーエイチシーなど有力企業の定番商品となり、店販ではDgS、通販ではECを中心に展開されている。
ただ、コロナ禍のインバウンド需要縮小で店頭ルートは苦戦を強いられている。大手ブランドでも前年比8 割弱まで売上を落とす事例が見られた。
一方で、ECをメインとする納豆サプリの売上は、微減~横ばいで推移。中国、台湾、東南アジア向けの越境ECでは、21年の売上が前年から7割伸長する製品も。また中国のアリババグループでは、今夏より納豆菌、乳酸菌のラインアップを拡充している。
ナットウキナーゼ、機能性表示食品14品に
納豆サプリ市場を牽引する素材は、ナットウキナーゼだ。アミラーゼやプロテアーゼと同じく納豆菌が作り出す酵素の一種で、1980年代に倉敷芸術科学大学の須見洋行教授が、血栓溶解作用を明らかとした。
その後、血液の凝固・線溶系に対する影響、血液流動性改善に関する研究が進められ、DHA・EPAと並んで、いわゆる「血液サラサラ」系サプリの定番素材となった。最近では、ウイルス感染の媒介となるスパイクタンパクの分解作用や…
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