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地場産業活かした『漢方のメッカ推進プロジェクト』(特集/奈良県)

奈良県では、超高齢社会、医療費削減などの観点から、予防医学に着目し、地場にゆかりの深い“漢方”を活かす『漢方メッカ推進プロジェクト』を推進している。県内では、薬用作物の安定供給を主に、漢方薬や健康食品、化粧品などの製品化に注力。大和トウキ配合のドリンクをはじめ、県産キハダの実用化に向けた有効性の研究や製品開発、シャクヤクの花に関する新知見報告などが進んでいる。

医薬品製造と配置売薬で発展 地場産業“漢方”の振興へ

奈良県の推進する『漢方のメッカ推進プロジェクト』は、近年の高齢化や医療費削減に寄与する予防医学について、地場産業である漢方や配置薬業のノウハウを活用し、新たな商品・サービスの創出を目指す取り組みとして、平成24年12月にスタート。

同年の食薬区分で、大和トウキの葉の部分が「非医」扱いとなったことから、トウキ葉の有効利用が漢方関連食品開発のきっかけに。県では、産業政策課および産業振興総合センターをはじめ、福祉医療部医療政策局薬務課、食と農の振興部農業水産振興課による部局横断体制で、原料となる薬用作物の生産から、漢方関連品の製造販売までを推進。

令和4年度予算は2,872万円を計上し、大和トウキ入りドリンクを中心とした漢方製剤の国内販売促進や、漢方関連食品等の製品化に向けた研究や販売会( B to C )の開催、県産キハダの実用化に向けた研究などを実施している。

これまでプロジェクトで誕生した漢方関連品は累計約90品目(9月末現在)。大和トウキ配合ドリンクでは、田村薬品工業の『ONSAI温彩』や、金陽製薬の『Angelica 和漢ドリンク』および『Angelica Wam(アンジェリカ ウォム)』、美吉野製薬の『健力W』が誕生し、特に県内イベントでの販売が盛況だ。

県産キハダの未利用部分の有効性研究を背景に、健康茶や雑貨などの製品も登場。このほか、サプリメントや調味用、化粧品、入浴剤、雑貨など着実に活用が広がってきている。

健食向けの研究開発進む

最重点作物として力を入れている大和トウキに関しては、品質の良い薬用作物のブランド産地「大和物」を代表する作物として、原料栽培拡大や機能性の研究や成分分析、食品への加工応用にいたるまで、県を挙げた取り組みを行っている。

「大和当帰」総合情報サイトでは、“根は薬、葉は食す”をテーマに、生葉の薬膳料理や、乾燥葉の健康茶などさまざまな情報を発信。大和トウキを活用した商品も随時追加掲載している。ビタミンK・E・Cが豊富で、食用利用の可能な大和トウキ葉の原料供給は、宇陀市産業企画課内「宇陀市薬草協議会」、益田農園、ポニーの里ファームで行う。

奈良県産業振興総合センターでは、大和トウキに次ぐキハダやシャクヤクなど新たな素材研究も進めている。

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