沖縄の健康食品産業界は、産官学がスクラムを組み、ブームに依存しない沖縄ブランドづくりを進める。「食はクスイムン(薬になるもの)」「ヌチグスイ(命の薬)」と言われる、長寿を支えてきた伝統的な島野菜や果実、海藻などの農海産物にエビデンスデータが蓄積。沖縄独自の健食認証制度は認定証商品が26品になり、シークヮーサー、クワンソウなど県産素材を活用した機能性表示食品も登場した。アイテム別では、様々な健康機能の解明が進むシークヮーサーが人気に。フコイダン、ウコンは海外の需要が伸びている。新たな動きでは、培養技術が進み、微細藻類が台頭。スタートアップ企業が増え、研究・開発が進む。また、もともと沖縄健康素材は、アップサイクルや環境保全に繋がるものも多く、SDGsの観点からも注目が集まっている。
観光客戻り、県内ビジネス底打ち
コロナ禍で沖縄の観光産業は大きな打撃を受けた。2019年度の入域観光客946万人から2020年度は258万人に激減した。2021年度は327万人となり、3年振りに増加に転じた。
今年4月以降も増加が続いており、8月の入域観光客は64万人で、コロナ前の2019年同月比では下回っているものの、入域観光客は約6割まで回復。
県産品を取り扱うわしたショップを運営する沖縄県物産公社では、「那覇空港店のショップ売上はコロナ前の約8割まで戻っている。健康食品関連では、シークヮーサー飲料が伸びている」と話す。また、県外店舗の銀座本店はコロナ前の売上を超えており、好調に推移するという。
今回県内事業者への取材では、「観光客が戻り始め、県内向け商品が動き出した」「アップサイクル食品として使用したいといった相談が増えている」「復帰50周年や、NHK連続テレビ小説『ちむどんどん』などの影響から、県外からの注文が増えた」「通販向けの供給量は落ちていない」「機能性表示食品の販売が始まった」「米国など海外輸出が好調」など、昨年以上に明るいコメントが多数聞かれた。
「ナノ設備を新たに完備する」「工場の拡張を進めており、来年本格稼働に入る」など設備投資に力を入れる事業者も複数あった。
独自の認定制度、26品に 機能性表示も続々、支援体制強化へ
沖縄県では、健康食品産業の振興を推進。関連団体、研究機関、経営支援機関などが連携し、ブランド力を高める取り組みを実施している。2018年からは「機能的価値」「安心・安全」に加え、「情緒的価値」の3要素を基準とした独自の認証制度「WELLNESS OKINAWAJAPAN(WOJ)」( 事務局:沖縄県健康産業協議会)を開始。
外部有識者で構成される審査委員会による審査基準をクリアしたサプリメント・加工品に対して認証マークを付与する。累計認定商品は、9月に4商品が加わり、26商品(16社)。サプリメント、飲料、茶、ゼリーなど剤形も広がりをみせている。
同協議会専門コーディネーターの照屋隆司氏は、「認定商品が増え、会員企業以外からの問合せも受けるようになった。WOJを通じて、沖縄ウェルネスとしての価値創出と可視化を進めていきたい」と話す。
同協議会では、県内イベントに参加するなど、足元から認証商品やマークの認知度向上に繋げる取り組みを継続的に進めていく。
機能性表示食品の開発では、琉球もろみ酢(クエン酸)、青パパイヤ(GABA)、モズク(フコイダン)…
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