高齢者の介護予防が課題となっている。日本の介護費用は10兆円を超え、いかに介護費用を削減するかが焦点となっている。そうした中、高齢者のフレイル対策が注目され、産学官を挙げて、様々なプログラムや製品開発が行われている。フレイルは介護を受ける前の現象で、身体的・精神的な脆弱化が顕著になっていく様を表わす。フレイル対策としては、口腔周囲を含む全身の骨や筋肉の強化・維持も重要とされている。コロナ禍で外出機会が減る一方、健康意識の高いシニア層は、適度な運動を心掛け、必要な栄養素を食事や、サプリメントなどで補っている。健食メーカーもそうした高齢者向けの製品開発を活発化している。
アクティブシニアの健康意識が急上昇
コロナ禍の健康志向の高まりは、特にアクティブシニアと呼ばれる60代が牽引している。総務省統計局が今年2月に発表した年齢階級別のサプリメントの通販支出の統計では、60代が月821円と最も多く、全世帯の平均638円を上回った。
令和3年の65~74歳代の人口は1 千7,238万人と、全世帯中45~54歳代に次いで2番目に多い。同世代は、若年層と比べても貯蓄があり、積極的に健康維持に努めていることが各調査から明らかにされている。
一方で、これら世代を含む高齢者層のフレイルが深刻化している。日本老年医学会の調査によると2015~16年のフレイル率は11%だったのに対し、2020~21年は16%に上昇している。
フレイルが増えた要因は、コロナ禍で外出が減り、人とのコミュニケーションが減少したこと。日光浴が減りビタミンDの生成が足りずカルシウムが不足したこと。また、高齢者のダイエットや小食によるタンパク質不足などが挙げられる。
骨・筋肉サポートの機能性表示食品が増加傾向
健康食品業界では、フレイル予防向けに骨・筋肉サポートの機能性研究・製品開発が活発化している。
タンパク質やカルシウムは、卵や肉・魚、大豆・乳製品など食事から摂ることが理想的とする一方、咀嚼の問題などで食事だけで補えない場合は、サプリメントからの摂取も有効だ。
健食原料サプライヤーは、各種プロテインなどタンパク質、ロイシン、アミノ酸、クレアチン、HMBCa、カルシウム、ビタミンD・K、コラーゲンなどの素材を、アクティブシニア向けサプリメント用途で積極提案をしている。
「骨・筋肉サポート」を訴求する機能性表示食品の届出も活況だ。「骨・筋肉」関連の機能性表示食品の届出は10月11日時点で258件( 軟骨を除く骨146件、筋肉112件)と増加傾向にある。
HMB、クレアチン、ブラックジンジャーなどが機能性関与成分として利用されており…
続きは、本紙10月19日発行号(1750号)に掲載。定期購読のお申し込みはこちらから
該当記事および過去のバックナンバーは、電子版ページからも閲覧いただけます。
■「受託製造企業ガイドブック2022年版」 好評販売中■