活発な商談が行われた「Fiアジア」
我々には、尖閣列島も北方領土も当然ながら歴史的にも我が国の領土である、との思いがあるが、領有権を巡り、日中ビジネスに大きな影を投げかけている。レアメタルや観光旅行など、市場が大きいだけに病み上がりの日本には痛みも大きい。が、これまでの中国へのシフトそのものがバランスを欠いたものとするなら、海外戦略はどうであろう。
考えてみれば、人口の第二位はインドで12億人を擁する。インドネシアが4位の2億3千万人である。これらをあわせれば中国に並ぶ一大商圏が浮かび上がる。自動車メーカーは中国の次はロシアとしているが、ロシアは国土の広さの割りに人口は1億44百万人と日本とそう変わらない。
食品の素材、添加物などの世界的な展示会「Fiアジア」がインドネシアのジャカルタで今月初めに行われ、出展者で4割増、来場数が2割増という盛り上がりとなった。世界各国からアジア市場への期待が集まったが、日本からも興人、林原など5,6社が参加、盛況だったというのが関係者の報告だ。来年はタイに戻るが、もはや中国、タイ、日本などの持ち回りではなく、インドネシアやフィリピンなどの諸国へのゲートウエイとしてタイも変貌を遂げ、新たな期待も高まりつつある。
「Fi」は食品素材・添加物の展示会で、欧州の「FiE」が旗艦となる展示会であるが、最近のアジア市場の台頭を背景に、インドやフィリピン、ベトナムなどでも「Fi」の現地版が開かれるようになってきた。いずれも人口の増加、所得の拡大などが、食品を中心とするビジネスの飛躍的な成長を支えている。
これまでは、政治体制が異なること、宗教上の制約(ハラル認証など)など乗り越える壁が多かったこと、言葉の違いなどで、関心はもっぱら中国に向かっていた。が、昨今の政治的なリスクやビジネスのバランスを考えれば、東南アジアの市場は改めて魅力的な市場だといえる。
来週開幕の食品開発展「Hi」も年々海外企業が増加し、来場者も国際色が豊かになるが、アジアへのゲートウエイとしての役割も担っている。今回も多くのアジアからの訪問者を迎えるが、大いにこのビジネスチャンスを生かして、新市場開拓に向けた交流を深めていただきたい。