日本抗加齢医学会は先月26日、都内で「アンチエイジング医学最先端2010」セミナーを開催した。セミナーは慶應義塾大学医学部眼科学教授の坪田一男氏の「学会アップデート&レビュー」に続いて、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授の森下竜一氏が「血管のアンチエイジングで長生きしましょう」をテーマに、帝京大学医学部泌尿器科主任教授の堀江重郎氏が「テストステロンで元気に働こうニッポン」というテーマでそれぞれ講演した。
森下氏は日本人のコレステロール摂取量が年々増加し、いまや欧米人に匹敵する摂取量になっているとしたうえで、「か
つて沖縄は長寿県とされたが、沖縄クライシスといわれるように、肥満・メタボ症候群により沖縄の男性の平均寿命が大きく低下している。その背景にはアメリカの施政権下で欧米型の食生活が最も早く普及し、そうした食生活で育った世代が肥満、糖尿病に陥り、平均寿命の低下をもたらしている。この傾向は、ファーストフード店が増えるたびに全国に及んでいる」と欧米型の食生活に警鐘を鳴らす。特に劣化コレステロールは血管の老化につながるため、抗酸化作用や血管親和性の強い薬剤の使用が望ましい対処法と結論づけた。
一方、堀江氏は「テストステロン低下(LOH)症候群が日本でも600万人との試算があるが、ほとんど治療されていない」と指摘。テストステロンは男性ホルモンの一種で、加齢とともに低下する。しかし、極端に低下すると男性機能、排尿機能に支障をきたすのみならず、高血圧、糖尿病、がん、心血管疾患、うつ病の罹患率、死亡率が高くなる。同氏は、タマネギやウコンの成分にテストステロン低下を抑制する作用が認められることを明らかにした。