健康産業新聞の調べによれば、2010年の健康食品市場は6%増の1兆1800億円、トクホ市場は8%ダウンの6070億円となり、全体では2兆円に迫る売上げ規模となっている。特徴的なことは、健康食品市場の顕著な回復であり、一方、トクホでは花王のエコナ問題の影響と制度の閉塞感という人為的な影響で引き続き減少傾向が続いていることだ。
健康食品市場が急回復をした背景に、通販チャネルの貢献が大きいが、問題の本質は通販という手法ではなく、旺盛な消費者ニーズの拡大がある。そのニーズを満足させる手段が通販であり、米国では専門店である。そのことを実感させるのが、兵庫県や東京都の調査だ。健康食品を利用している人、利用したことのある人の割合は消費者の半数に迫り(調査では超えているものも)、今や生活必需品になっているという事実だ。自動車や家電などと共に、なくてはならない生活用品としての地位を手に入れ始めたということだ。総務省の調査でも昨年の家計調査におけるサプリメントの支出は年間を通じて2桁の伸びを見せた。高齢者世帯になるほど支出が増えている傾向も明らかになっている。
ちなみに本紙の受託調査では、「美肌、膝関節」がキーワードになっている。多くの消費者がアンチエイジングや肌や膝のトラブルに対するソリューションを健康食品に求めたということだ。
健康産業新聞では2011年以降の見通しも「強気」としている。背景には高齢者人口の増加と比例する健康食品の消費拡大、生活習慣病の増加とセルフメディケーションの意識拡大、人口減少による付加価値商品の展開の可能性などを挙げている。ただ、トクホ問題に象徴されるように、行政の市場認識の問題、健康食品を利用する消費者と消費者団体の認識のずれなどが消費拡大の抵抗勢力になる可能性もあるとしている。詳細は健康産業新聞新年号(2分冊)を。