先週の土曜日、都内で開かれた「生き物文化誌学会」のミツバチ例会に誘われて参加した。友人の小田忠信さんや池谷和信教授、また、タイからは養蜂研究協会のシリワット・ウォンシリさんが加わり、少し仕事から離れた蜂蜜とミツバチの話を伺った。
テーマが「ハニーハンター、ビーキーパーなどのミツバチと暮らす人々とミツバチとの文化誌(史でないところをお尋ねしなかったが・・)、共生」の議論で、みなしごハッチがミツバチハッチに改名された話から、小笠原領有問題、アフリカにおけるミツバチと蜂蜜・・・と暫し壮大な夢の世界に案内していただいた。無論、最近の西洋ミツバチの蜂群崩壊症候群(CCD)についてもさまざまな議論が紹介され、アジアに生息する東洋ミツバチがこの問題の解決のキーワードになるかもしれないとの興味深い指摘もあった。
もう一つの興味は、この会合に全国の研究者、大学関係者が、おそらく手弁当で集まっていることのユニークさであった。かつて、アスタキサンチンの学会でも同様な景色が見られたが、科学者がこのような研究に議論を戦わせている姿は学問研究の原点で、ともすると商業主義に傾きかねない昨今の風潮に対し、学際的な議論が確保される橋頭堡なのかもしれない。
健康産業でも、学問研究の重要性が増す中で、ごく一部ではあるが、学者は拝金主義者なのかという批判も生まれるなかで、ほっとする一コマであった。振り返れば、ここで紹介したダン・ビュイトナー著の「ブルーゾーン」なども、人が長寿であることの証を検証していくことで、生きることの意味を再考するきっかけになるもので、サプリメントを狭義で見ないための参考にもなるが、生き物文化誌学会のミツバチ例会も養蜂業者の良心の拠り所として価値がある。機能研究などが極めて重要であることは疑う余地もないが、ミツバチの気持ち、ミツバチの目線、万葉集の議論など、一服のお茶を頂いた爽快さである。160名が集まったというが、その一人ひとりがどのような思いで参加されたのか興味津々だ。