米も「機能性評価研究」(消費者庁)に注目
3月4日まで開かれた日米の規制措置を見直す「日米経済調和対話」(旧MOSS協議、イニシアティブ協議)で、健康食品の表示制度も課題に上り、米政府は栄養補助食品について、素材(成分)に特化した健康強調表示(ヘルスクレーム)を認める制度の導入を要望した模様だ。両政府は今年中に報告書をまとめる。米国側は、消費者庁が来年度に実施する「食品の機能性評価モデル事業」に期待を寄せており、外圧が消費者庁の取り組みを後押しする形で、新たな決着を見る可能性も浮上している。
日米経済調和対話では通信、郵政、保険などとともに、医療機器、化粧品、有機農産物なども取り上げられた。化粧品では輸入のプロセスの簡素化、日本の消費者のための効能効果表示の拡充、などがあげられており、栄養補助食品についても俎上に上った。米国側は、栄養補助食品については「表示」「安全」「食品添加物」に関する規制を見直すよう求めている。
表示については、素材ベースでのヘルスクレームが可能となる制度の導入や、保健機能食品制度の拡充を提案。これに対して日本政府は、消費者庁が来年度に「食品の機能性評価モデル事業」を行うことや、「健康食品の表示に関する検討会」の論点整理に沿って特保制度を見直すことを説明した模様。関係者によると、米国側は日本の動きが活性化して、消費者庁の取り組みが前進しているとに注目しておりし、新たな要求を突きつけるよりも、これをサポートするほうがよいと考えているようだという。
新たな機能性表示制度に向けた研究は健食業界の要望に基づいて実施されるが、現政権の規制仕分けや産業振興の流れにも沿い、米国側の後押しも得られる可能性があり、今後の成り行きに期待が集まる。ただ、素材ベースのヘルスクレームについては米国側の期待と消費者庁の考える「食品の機能性評価モデル事業」とのハードルの高さが同じでないため、具体化すれば問題が出てくることも想定され、今後の懸念材料となる可能性も。
一方、安全規制については、貿易の円滑化の観点から、食薬区分の審議の透明化を要望した。米政府は、食薬区分を審議する厚生労働省のワーキンググループの構成委員が“医薬品寄り”となっている点などを問題視しているとみられる。このほか、栄養補助食品に使用できる食品添加物や溶媒の範囲の拡大も求めている。(関連、健康産業速報、健康産業新聞)