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【食品受託試験】エビデンス重視で試験依頼増

2024年、健康食品市場に大きな影響をもたらした紅麹問題は、10年目を迎えた機能性表示食品制度の大幅な改正につながった。健康被害報告の義務化やサプリ剤型のGMP義務化など、改正は安全性に主眼を置いたものだが、制度そのものに注目が集まり、安全性・機能性への関心はますます高まっている。今回の食品受託試験企業(食品CRO)への取材では、紅麹問題による影響は限定的で、試験中止などの影響は「ほとんどない」という企業も複数あった。各社からは「依頼が増加している」との声が聞かれる。増加しているのはメタボ系や睡眠、運動など幅広く、「フェムケア」関連が増えているとの声も目立った。また、機能性表示食品だけでなく、健康食品のバックデータとして臨床試験を行う企業も多く、エビデンスを重視する傾向はますます強まっている。高度なノウハウや検査機器などを必要とする食品CROの存在感は一層増している。

機能性表示食品10年目「安全性」主眼の改正

小林製薬の紅麹問題は、関係閣僚会合を立ち上げる動きに発展し、早期に対策を行う観点から、安全性に重点を置いた議論が消費者庁の「機能性表示食品を巡る検討会」で行われた。検討会報告書がまとまったのが5月27日。この間、機能性表示食品の届出に慎重になる動きも一部で見られた。報告書や政府の対応方針に従い、8月23日に食品表示基準の一部が改正。食品衛生法の施行規則も一部改正された。機能性表示食品の健康被害は報告を義務化し、9月1日に施行。サプリメント剤型のGMP義務化、必要な表示事項の見直しは2年間の経過措置期間が設定された。このほか、届出後の自己評価の定期的な報告や、新規成分を慎重に確認する「120日ルール」など、所要の改正が行われている。

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