今米国では、Holistic & Integrative Medicine(統合医療)の普及が進んでいる。その背景としては、国民全般にセルフ・メディケーションの考え方が浸透していることに加えて、医療分野におけるQOLが大きな課題になっていることがある。このため、西洋医療だけではなく、幅広く東洋医学、ハーブ療法などを併用したものが保険医療の中でも認められている。
今回、訪問した「ラホヤ・ホールヘルス・クリニック」は、同クリニック主催者のMark Stengler博士が、米国内でもトップにランクされる統合医療分野の権威でもあり、米国西海岸でも人気のクリニックだ。Stengler博士は、補完医療について書かれた書籍として北米で最も読まれた「Transform Your Body Naturally」のほか、17冊以上にもわたる補完医療関係の書籍を刊行している著者でもある。同博士は、Naturopathic Medical Doctor(自然療法医、N.M.D)としての資格を持つ。
同クリニックは、西洋医療に加えて東洋医学、ホリスティック医学を複合的な形で取り入れることで、一般的な保険医療では賄えない、クライアントのQOL(生活の質)を高めている。建物は一般住宅を使用しており、一見すると病院とは思えない外観。また、室内装飾もサロン・エステ風の仕様で、トイレにいたるまで配慮された高級感を持っている。一般医とは違い、時間をかけてカウンセリング(カウンセリング料は30分75ドル)し、メンタル面にも配慮している。
同博士によれば、「胃の調子が悪いからと、胃だけではなく、他の部位も含めて全体的に見なければ根本治療にはつながらない。体の不調、精神の不調をトータルに診て症状を判断する。一般医でもこれを取り入れ始めており、アリゾナ大学、UCLAなどでもホリスティック医療が必修として導入されている。また、本クリニックでは、一般医学(西洋医療)との併用が基本だ。例えば、がん治療に取り組んでいる患者に対しては、化学療法との併用を前提とした、免疫力を高める鍼灸やカイロプラクティックなどを治療として行う。当然、各種一般医学的な検査(血液、尿、便など)をしつつ、経過を見ていく」という。
現在、同クリニックには、何らかの病気を抱えて治療中のクライアントと、病気ではないが予防的にカウンセリングを受けるクライアントが訪れている。女性が圧倒的に多いが、近年では男性も増えているという。年代は40代以上が多い。また、同クリニックウェブサイトを通して、遠方のクライアントに向けたカウンセリングも行っており、サプリメント、ハーブなどを処方する医療的コンサルタントも行っている。同クリニックの年間売上は、1,400万ドル(日本円で約1億2,000万円)。
ラホヤ・ホールヘルス・クリニック (324 Encinitas Boulevard Encinitas, CA 92024)
■統合医療展 ~補完療法と予防医療の展示会&学術会議~
2012年2月21日(火)・22日(水) 東京ビッグサイト西4ホール
http://www.togo-iryo.jp/