宮城県は4月下旬に「避難所における食事状況」などについての調査結果を発表した。調査期間が3月11日の東日本大震災の直後の避難所での調査ということで、被災地の環境も厳しい時期ではあったが、栄養素別の摂取状況も深刻な数字が並んだ。
ビタミンCの充足率は提供/目標比で32%にとどまり、避難所のすべてで提供が不足していた。ビタミンB1、ビタミンB2などの栄養素も提供/目標率は60%台で、これらの栄養素も不足していることが判明した。もっとも、タンパク質やエネルギーも7―8割で全般的な提供不足も明らかになった。劣悪な環境の中で、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素はストレス対策としても重要であり、十分な提供が望ましいが、食料が不足する被災地において、とりわけサプリメントの役割は大きいということも分かってきた。
調査は、4月1日から12日で、東日本大震災の被害の大きかった宮城県沿岸部13市町に設置された避難所を対象に実施した。管理栄養士らが巡回し、332箇所で聞き取り調査を行ってまとめたもの。避難所の規模でもバラツキがあり、小規模な避難所のほうが事態は深刻で、個人の避難のケースでは事態はいっそう厳しいとの予測も。
高血圧などの被災者に対する食事のあり方も調査対象であったが、把握状況は実態の2割程度と極めて深刻であった。宮城県をはじめ被災地では、日健栄協など業界団体に対し早くから栄養補助食品の提供を要請しており、今回は、産業界も様々な形で応えてきたが、今後のサプリメントの役割や供給のあり方など、今回の調査をベースに多くの教訓を行政と共に手にすることになった。とりわけ、非常時におけるサプリメントの役割についても再認識することが出来た。
一方、福島県では医師会と管理栄養士らが連携し、現地での栄養調査、健康相談を行った。ここでは産業界の提供したサプリメントが実際にどのように現地で使用されたか、錠剤・カプセルなどを含め、どのような形態が現実的だったか、などの取り組みの成果が得られた。
また、栄養士会がビタミンB群を中心としたプレミックスを炊き出しの味噌汁に入れて供給するなど、避難所での栄養指導の実際も踏まえ、被災地におけるサプリメントの供給のあり方、子供や高齢者でも使いやすいサプリメント形状など、今後の商品開発のアイデアなどについて、興味深い指摘が寄せられている。サプリメント自体の課題に加え、これを供給する際の栄養士、サプリメントアドバイザーなどの役割などについても、検討が必要かもしれない。
健康産業新聞でも日本栄養士会や管理栄養士の被災地での取り組みを紹介するほか、6月の東京ヘルスコレクションでも記念シンポジウムとして「災害時におけるサプリメントの役割」というテーマで情報の共有が行われる。