長寿遺伝子「サーチュイン遺伝子」を刺激することで長寿、アンチエイジング効果が期待できるとNHKの科学番組が紹介し、食事制限に代わるものとしてレスベラトロールを紹介して以来、レスベラトロールを求める消費者の声が増幅、通販メーカーがキャンペーンを展開するなどフィーバーしている。店頭にも、もともと商品は余りなく、品不足状態が広がっている。
そもそもは貝原益軒の養生訓の「腹八分」の教えが原点で、近年では、サルやショウジョウバエの実験で、充分えさを与えたグループと、7,8分の制限食を与えたグループでは、後者が長生きで、サルでは色艶もよく、アンチエイジング効果が確認できたという有名な実験。秦の始皇帝以来、長寿の秘薬は人類の悲願であり、高齢化社会では、多くの人が飛びつくのも無理はない。ちなみに貝原益軒は福岡藩士で、70歳から著実業に転進、養生訓などを世に出しているが、今の九州のサプリメーカーの活躍と重ね合わせても面白い。
話は脱線したが、話題のNHKスペシャルでは、制限食が長寿遺伝子のスイッチをオンにするとして、アンチエイジングの科学者が好むサルの研究を紹介し、しかし、物が溢れる中で、食事制限は厳しいとして、それに変わる機能のあるものとして、レスベラトロールを紹介した。
翌日からは原料メーカーにも問い合わせが殺到、原料が不足するだけでなく相場も高騰、他のポリフェノールメーカーでは「効き目は変わらないのに、レスベラだけがクローズアップされ、価格はつれ高だ」と渋い顔。通販メーカーが相次いで商品をPR。民放が健康増進法などで規制されるなかで、NHKが視聴率を稼いだ格好で、改めて健康情報への消費者の関心の高さを認識させられた一幕だ。
要はこうした情報に、否定的な学者や一部の消費者団体のグループと消費者ニーズの認識の乖離の大きさである。原発問題でも一晩すれば、安全神話が逆転し、廃止へと草木もなびく時代である。「いいらしい」という夢を追うことは、一握りの保守的な議論で握りつぶされていいものなのか。レスベラの延命効果は科学論文「ネイチャー」でも取り上げられているのだが。
NHKも性根が入ったのか、今度は別の番組で、放射能といえば何でも摘発に走る当局の向こうを張り、リンゴペクチンが放射線対策に有効とする情報も流している。情報を閉ざすことへの批判が少ないなかで、健康情報は適切に提供されるべきであり、消費者もそれを望んでいる。NHKも健康情報については、なかなか頑張っている。(ちなみに、弊社発行の「ダイエット&ビューティ」(7月15日号)でも米国のレスベラ事情が紹介されている)