厚労科学研究で葉酸やビタミンB6の摂取が脳卒中や心疾患の死亡リスクを低減できることが明らかになった。研究は約6万人を対象に、一日あたりの葉酸とビタミンB6の摂取量で5つのグループわけを行い、14年間追跡調査を行った。
結果、女性では、最上位群と最低位群では、心疾患の死亡リスクが葉酸で50%、ビタミンB6出53%も低くなったとしている(詳細は本紙7・27号1面、速報など)。問題はこうした大規模調査の成果が、機能表示の推進ということで国民にフィードバックされていないばかりでなく、健康増進法などでは根拠が明確でないものを報道することにも圧力をかけているという当局の国民不在のスタンスにある。
予防が生活習慣病対策に不可欠だとすることに、多くの人々は反対しないが、こうした各論の成果を消費者に提供することに否定的な研究者も少なくない。情報・研究成果の独占である。実際こうした情報を手にすることで、少なからぬ人々が予防的に脳卒中や心疾患のリスクを低減させることが期待できるわけで、あとは消費者本人の判断である。東電問題ではないが、情報はあまねく開示し、利用者の判断に委ねることが不可欠であり、消費者サービスの基本である。
成果を多くのマスコミに紹介し、新聞やTVなどを通じて伝えてもらえれば、消費者は自ら予防的に行動するきっかけを手に出来る。栄養士会などは、食生活のキャンペーンを載せればいいし、サプリメーカーも正しく紹介すれば、国民の食生活改善にも寄与でき、企業としての信頼度も増す。多くの企業の競争で、怪しい商品は排除され、マーケットの健全性も担保されるはずである。
科学的に取り組まれた調査情報が多くの国民にきちんと伝えられず、結果予防できるチャンスを奪われている消費者の立場からすれば、折角の研究も税金泥棒である。健康情報を喧伝することを批判してフードファディズムと主張する一部の学者?やこれに乗った自治体の講演会などが行われているが、逆ではないか。健康情報を正しく伝えず、消費者の健康になる権利を奪う行為こそはフードファシズムだと。多くの価値のある情報を消費者の手に。そのために、産業界は行政や科学者にきちんとした働きかけをすべきである。