余り関心はもたれなかったが、3日に厚労委員会で、樋口俊一議員がサプリメントの医薬品化構想で、質問をした。「サプリメントを医薬品として認可する制度設立の検討を」という内容であり、岡本政務官は「本当にサプリメントで(予防)できるのか」「現時点では保険医療で診る治療で対応している」とし、一蹴した格好であった。‘周辺に伝えられる厚労省も合意’という説明は不可解極まりないが。そもそもここでいう『治療』と『予防』の領域議論はこれまで余り行われてこなかった。『医薬品』と『食品』の区分の問題もある。「サプリを医薬品」にという議論がどこから生まれてきたのか?誰にメリットがあるのか、産業界は寝耳に水で、いささか不明な点もある。が、それにしても、前提としての予防と治療の領域議論が行われ、サプリメントの役割を明確にしないと事は難しいのではないか。何よりも性急な議論は産業界に混乱をもたらすだけである。
実際、製薬団体でも「国際的にサプリが食品として流通している時に、我が国では医薬品とするのは説明がつかないだろうと」といった声がある。健食業界にも「(検討は拒まないものの)消費者や産業界にどのようなメリットがあるか見えない。医薬品の制度を振り回すよりも法制化を睨んだサプリメントの制度作りが先ではないか」とする声は多い。
健康産業界にはかつて、自民党の石崎岳氏が音頭をとり、改革の入り口まで迫った超党派の議員連盟の活動の記憶がある。70名の自公民の議員団を背景に、鳩山氏や町村氏、長勢氏等が顔を見せ、毎月のように議員会館で産業界や学識者を呼んでの勉強会が行われ、そこから生まれた声を取りまとめ、一つになった。その具体的な行動は、①4・13事務連絡の撤回、②サプリメント法制定に向けた活動であり、厚労省と産業界、議員連盟がもっとも接近した瞬間でもあった。残念ながら選挙・解散ムードの中で構想は頓挫したが、産業界の気持ちを一つにまとめ、改革への一歩が踏み出されようとしていたことは多くの関係者の評価するところである。当時、樋口氏はこの議連に関与していないが、当時の状況を踏まえ、産業界の声をしっかりと受け止めて、活動いただきたい。サプリメントがきちんと販売でき、消費者にもメリットがある制度作りに産業界は期待している。樋口議員がそのような活動をされるのであれば、産業界も支援を惜しまないであろう。