免疫療法の中で栄養療法にサプリメントを取り入れている統合医療ビレッジ、プルミエールクリニック松島修司医師にサプリメント療法の導入例、治療における医師、患者双方での留意点、EBS普及のポイントを聞いた。
―サプリメント療法の導入例について。
当院では免疫療法に取り組んでいるため、主にがん患者が多く来院される。初診時に免疫の状態を調べるためにおこなった採血結果をもとに免疫系統に問題のある物質を特定する。治療にはサプリメントも含む栄養療法が取り入れられる。サプリメントの場合、平均で3ヵ月しても症状が改善されなければ、別のサプリメントに切り替えていくようにしている。ただ漫然と、がんならこの種類のサプリメントという処方ではなく、患者それぞれの弱点を見つけ出して、オーダーメイドな指導を施し、改善に導いていく。
がん患者のサプリメント導入例では、主成分がスクワランでオメガ3系脂肪酸を豊富に含むサプリメントを処方することが多い。がんが成長するとき、新生血管生成を促進する因子が体内に多く存在する。新生血管はがんの周囲にとぐ初診時の検査で、腫瘍血管新生が強ければ同品を処方するか、サプリメントが苦手という方には亜麻仁油やシソ油、エゴマ油を摂るように指導する。がん患者にはスクワラン含有サプリの場合、通常量の倍量を推奨する。ほかの治療と併用しながら、数ヶ月継続し、腫瘍マーカーの値が下がり、画像的にも腫瘍が小さくなるというはっきりした効果が出ている場合は漸減しながら更に継続する。ほかには小麦から作った乳酸菌様物質が腸内環境を改善するのに役立つ。
― 治療の際の大前提とは。
治療というと機能性に着目しがちだが、治療には効く、効かないだけでなく、医師と患者の心と心のつながりも重要。患者がその薬効を信じて飲んでいるサプリメントなどがあれば、許容できる範囲で認め、効果が不明であまりにも高価すぎるものは止めるよう勧めることがある。かかりつけ医が認めてあげるだけでも治療がプラスに働いた例がたくさんある。
― 治療後の生活で注意することは。
残念ながら、良くなってくるとまた元の生活習慣に戻ってしまう人が多くいる。何度か説明してもなかなか難しい。治療もサプリメントも良くなって来た時こそ気をつけることが肝心。悪くなくても半年に1回はクリニックに来院していただき、無理のない範囲でサプリメントを継続して摂取するなどの意識を持つことが大切だと思う。
― 統合医療におけるサプリメントの条件とは。
エビデンスは念頭に置いた上で、効果は大事だが、まずは安心・安全であることが一番だと思っている。当院の設立当初は、統合医療に携わる先生方の協力もあり、多くのサプリメントを取り扱っていたが、年月に連れ、説明書ほどの効果は少ないと判断したサプリメントは排除し、現在は12種類のサプリメントにビタミン剤という扱いに集約している。
― 医療業界でサプリメントが広がるためのポイントは。
日本では混合診療が一般的ではないため、医療機関にサプリメント処方専門の調剤薬局や薬店を併設し、医療行為と役割を分けたほうが広がりが見られると思う。おそらく、患者さんやそのご家族も街にドラッグはたくさんあるが、自分がどの商品を摂ったらいいのかわからないといった現状だと思う。
これらを医師だけで取り組むのは難しく、薬剤師や栄養士を含め、サプリメントや栄養指導の情報発信をしていきたいと思っている。