一般社団法人日本統合医療学会は14・15日、第15回日本統合医療学会埼玉大会を開催した。14日には鼎談「がんに対する統合医療の将来」が行われ、医療関係者や企業、一般を含め、多くの聴講者が集まった。鼎談の結びには、同学会理事長の渥美和彦氏がコメント。転移再発進行がんに対する治療について統合医療の必要性を言及し、「統合医療特約」付き生命・医療保険の運用を提案。大手生命保険と連携して開発を進めていることを明らかにした。
演者である帯津三敬病院名誉院長帯津良一氏が身体についてのエビデンスは明らかになってきているが、心のケアを含めたエビデンスについては未熟であると指摘。大阪大学医学部付属病院消火器外科医師伊藤壽記氏は、昨年から平成27年まで関西イノベーション国際戦略総合特区で、医薬品、医療機器、先端医療技術(再生医療等)、先制医療、バッテリーおよびスマートコミュニティを当面のターゲットに、アジア等で大きな課題になる高齢化やエネルギー問題に対応できる、課題解決型ビジネスの提供、市場展開の後押しするしくみを目指していることを明らかにした。
鼎談では、帯津氏、伊藤氏と座長の癌研有明病院医師の星野恵津夫氏が、5つのテーマでディスカッションを行った。焦点となったのは、補完代替医療の経営の問題で、特殊外来として自由診療を実施する案、保険適用内での診療として予約制の選定療法の実施やカウンセリングに治療費として加算する仕組みを作ることを提案した。さらに、健康・美容関連サービスとして、サプリメントをはじめ、美容、点滴、デトックスなどを提供したり、ヨーガ、瞑想、運動法などの指導料を徴収する方法で収益をあげるしくみを作ることの必要性を強調した。
このほかのテーマでは、冒頭の渥美理事長の“統合医療特約付き保険”のほか、症例別や施設別の有用性を示すことも必要と指摘。さらに、サプリメントや漢方、鍼灸その他、補完代替医療での有害事象やがんの統合医療を行うシステムの理想像を示した。最後に、がん難民の増加には医師や医療関係者の責任が大きいことを指摘し、最後まで患者のことを考える医療関係者を目指すべきとした。