目的としたプロシューマーの展示会
「東京ヘルスコレクション」
厚労省の肝入りでアドバイザリー制度が出来、各団体がこれを推進し、サプリメントの普及に一役買えるかと期待されたが、その後は泣かず飛ばずで、これでは年金問題に続き、国家的資格詐欺ではないか首をかしげる関係者も少なくない。同じ頃に出来た登録販売者制度とは随分な違いである。
米国では「看護師の9割がサプリをとり、医師も7割がサプリをとっている。患者にも、医師、看護師の8割がサプリメントを提案する」(CRN調査)という報告もある。専門家がサプリメントの普及に貢献している事例である。
エグゼ会議で講演された評価パネル座長の金澤一郎先生も感想のなかで、「(サプリメントの扱いに関して)健康指導員のような職種が必要ではないか」として、日本の消費者(米国などに比べ)はメディアの影響を受けやすい傾向に言及した。消費者の教育啓発や専門家の教育がサプリメントの普及の前提だというわけだ。健康指導員とはサプリメントアドバイザーのようなものをお考えなのかと推察する。
前段の看護師・医師の話は、東京ヘルスコレクションのパネルディスカッションで国立健康研究所の梅垣氏が「錠剤・カプセル批判」を執拗に繰り返されるので、少し視点を変える意味で米国の事例として紹介したが、サプリメントを巡る議論は実にさまざまである。どの意見も中立的ではなく、考える視点で座標軸も変わるため、容易ではない。それは消費者庁の仕事も同じである。「国が決める時代から消費者が自己責任で決める時代に変わりつつある」からで、消費者の価値観が多様化する中で、法律で全てを縛るわけにはいかない。大切なのは表示制度の整備や、情報提供の仕組み、消費者の自己責任の自覚などで、「消費者庁」改め「消費者教育庁」にすべきとの声さえある。
今号の健康産業新聞の一面でも、「消費者の半数がサプリを利用している」実態が報告されているが、だからこそ行政は、消費者にできるだけ多くの情報の提供と、消費者がそれらの情報を読み解くすべを提供することが必要ではないか。規制からは何も生まれない。サプリメントアドバイザーはそうした役割を担う制度であり、先ずは運用から始めるべきではないのか。特区での実証実験でも導入のチャンスはあるはずだ。完成品を作るのではなく、消費者、利用者と共によりよい制度を作る視点が求められている。(健康産業新聞)