消費者庁は25日、11品目の機能評価などの報告書「機能性評価モデル事業の結果報告」(日健栄協受託)を公表した。機能の検証の取り組みの背景には消費者側、産業界側に共通する「科学的根拠に基づく機能表示推進の意向」があり、消費者庁は「機能がなければ健康増進法違反」とも語っていたが、11素材については主要な機能でほぼCランク(POSSIBLE)までとなり「機能が一定評価された」ことから、7000万円の予算を投じた事業は報告に基づいて、市場導入へ向けた適切な対応を迫られることになる。
モデル事業では、機能表示に関して、諸外国の動向、機能性成分の機能の有無と根拠の確認、機能性表示の類型などのあり方の調査を日健栄協に委託した。具体的な作業は①海外の健康強調表示の調査、②11品目の科学的データーの収集、③それらを受け、評価の審査・承認などが行われまとめられた。一連の作業には、金澤一郎氏を座長とする11人の専門家による評価パネルに加え、100人以上の研究者が集結、1年弱の調査・研究を踏まえた大規模な取り組みとなった。
結論としては11品目の評価について、主たる機能については6段階評価での三番目のC(機能について示唆的な根拠がある)が大半で、EPA/DHAでいくつかの機能でA評価が出た。産業界は「不合格ではなくホット一安心」ということではあるが、大方は新しい評価の受け止めに逡巡している状況か。
機能表示の事例では、栄養素機能表示型、構造機能表示型、疾病リスク低減表示に分類し、三段階の表示レベルに基づく表示事例を示すなど踏み込んだものとなっており、今後への提案も行われている。国家予算を使い、膨大な人的資源が投入された今回の取り組みは、特保制度以来の一大プロジェクトであり、産業界、サプリメントの知識をもつ消費者グループと行政による市場導入に向けた早急な話し合いが急がれるところだ。消費者庁は機能表示の一人歩きを懸念しているが、消費者の半数がサプリメントを利用している現実と、今回の取り組みで、客観的な機能の評価が出された以上、一日も早く制度化を進める手だてを取ることが求められる。(詳細は27日の健康産業速報、健康産業新聞5月9日号)