今回公表された「消費者アンケート」は健康食品のあり方議論に留まらず、これからの消費者行政を進める上でも、消費者の声を把握する有効な手法として浮かび上がってきた。消費者が(検討課題に)どのような意見を持っているのか、そのあたりを知らない委員が多く、アンケート結果を共通項として議論が進めば、効率的で消費者ニーズに沿う政策がまとめられる可能性がある。
消費者委員も検討会のメンバーも、大方は議論するテーマの専門家ではない。自分のフィールドの意見を披瀝するケースが多く、時には特定の意見を代弁するだけで議論が迷走することもしばしばである。委員の資質の問題か、議事運営上の問題か、これまでも委員長が散らばったおもちゃを集めるが如く委員長権限で何とかまとめてきたが、後日談では厳しい苦言も呈されている。
健康食品については、消費者アンケートで委員会のムードは一新した。茫洋としていた消費者ニーズがどこにあるのかを、今回のアンケートは示した。これからの議論の行く末も、議論の方向も見えてきた。委員長も6割の利用率に驚いていたが、サプリメントは今や生活必需品であり、これからの議論は生活必需品であるがゆえに、どのように消費者に利便性の高いものにするかが問われている。機能表示にも多くの消費者が期待する実情が浮かび上がり、依然とし表示規制を叫ぶ委員の時代錯誤振りが際立った。検討会でも、制度作りの議論で、健康食品不要論をぶち上げる消費者団体の代表もいたが、消費者の6割が利用する必需品に異議を唱える「消費者団体の存在意義」はどこにあるのだろうか。
産業界も今回のアンケート調査に自信を取り戻しているが、さりとてサプリメントと医薬品はカルチャーが違うわけで、どんどん理論武装することで気がついたらサプリメントが医薬品のとなりに座っていた、という事態は望んでいないようである。大局を見た議論が望まれるところである。(関連記事、健康産業新聞1面)