消費者委員会のサプリ消費者アンケート調査は、「6割の人がサプリメントを利用」し、使用している人の「6割が満足している」、また、使用している人の6割が「コスト高でも機能表示が欲しい」という衝撃的な内容であった。この状況をどのように捉え解決するのか、消費者庁と消費者委員会の覚悟が問われている。
何となれば、評価モデル事業で取り組まれた機能表示を実現するためには、薬事法の改正か、少なくとも46通知の手直しが必要になる。そもそも、通知が合法的かどうかの議論はあるが、当局間の調整でも、その程度のことが出来ないと消費者行政などは現実化しない。まさにこの問題は、消費者庁や消費者委員会が消費者問題の提言や消費者行政を行う機能を持つのか、否か、その存在意義が問われるような話である。
そもそも、薬事法には2条で医薬品の定義で、身体の機能構造への影響を及ぼすものを医薬品と定義しているが、これを医薬品のみの権限と解釈し、他に認めてこなかった。ところが食品の機能研究が進み、「機能のない食品などない」といわれるほど、「常識」が変わり、当局も2条の運用をしなくなった。今では68条の医薬品の広告宣伝を適用し、疑わしいサプリメントを偽医薬品とした上で、広告宣伝の規制を転用するという難しい対応をしている。推定有罪とした上での適用だから、‘昨今の検察’を上回る脱線ぶりである。唯一、健康産業は参入障壁が低く、玉石混交の参入企業に対する暴走抑止力として、薬事法がお目付け役になるという点は、産業界としても認めるところではあるが。
ただ、消費者は明らかに機能情報を求めているが、「これは医薬品ではない」「(医師の了解なく)疾病の治療には使えません」などの交換条件を整備しても、薬事法の関係は容易ではない。ただ、選挙制度に限らず、法律が現実に適用できなくなっている現実は随所にある。消費者庁や消費者委員会は、この点をしっかりと確認し、今回のアンケートに向き合う必要がある。組織としての機能がなければ、存在意義が問われる。その試金石として、先ずは消費者委員会の覚悟の程をしっかりと見守って行きたい。今回の調査の民意の意義は大きい。