健康産業オンライン

どんどん悪化する国民の健康と拡大する医療費

 「人間ドック学会の調査結果」では、急増する肝機能異常の症例など生活習慣病関連のまとめが報告され、厚労省の2011年の概算医療費では「38兆円に迫る国民医療費の実態と急増する高齢者医療費の実情」が報告された。生活習慣病の増加とそれに伴う医療費の拡大、とりわけ今後増加の見込まれる高齢者医療費が、医療費の半分を占める状況は、政治も政策も無能、無策であることの証左と言わざるを得ない。消費税法案は多くの良識ある国民の「ツケを後世に残すな」の覚悟に支えられて成立したようなものだが、「医療費を一円たりとも減らさないとする医師会や厚労省幹部、議員の思惑」(関係者談)に乗せられただけで、「日本が沈没しても医療費の垂れ流しが続く構造が出来上がった」という厳しい指摘もある。
 2011年度 38兆円の医療費は、大震災や原発事故も要因となったのであろうが、3・1%の大きな伸びで、とりわけ70歳以上の医療費は4・4%増の17兆円に達した。19兆円が半分であるから70歳以上で半分近くを占めている事になる。今後も高齢者医療支出は30年にわたり増加の一途を辿るわけで、そのしわ寄せは幼児、乳児の救急医療サービスなどの低下に繋がっている。今こそ、セルフメデケーションが大事で、高齢者医療費の削減も急務であるが、医療費や生活保護費のバラマキこそが票と金、権益確保の近道と考え、その権益保護に走っている人々がいるということは、国が沈もうとしている時に、驚愕する。


一方、人間ドック学会の調査も深刻だ。こちらは「肝機能異常、3人に1人」の見出しで、肝機能異常が急増し、唯一改善の「肥満」を抜き去りトップに躍り出たというもの。要因は不明だという。生活習慣病関連では、「肝機能異常」が6・3ポイント増の33・3%に、「高コレステロール」も2・5 ポイント増の29・8%に。唯一改善した肥満は民間企業の取り組みも奏功したと言えるが、若年層の栄養不足など新たな問題も生み出している。
 生活習慣病の予防も水際での対策が効を奏していない。結局、国民が健康になる権利を奪われ続けていることになる。消費者団体も御用学者も、この実態の把握を放棄し、目先のモグラ叩きに力を貸し、国民の健康の権利を奪う手先になっているようだ。消費者の知る権利、選ぶ権利に留まらず、健康になる権利を取り戻そう。

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