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中国ビジネスのピンチとチャンス

 日中、日韓の関係が、様々なビジネスに暗い影を投げかけている。長年、先送りをしてきた領土問題の付けが今になって回って来たわけで、パンドラの箱の蓋を上手に元に戻せるか、落とし所を探る段階にきている。食品開発展でも、中国保健協会とのパーティーが中止になり、中国からの出展企業の一部キャンセルも出るなど、今回の問題の余波は各産業界に影響している。展示会の協会である日展協も緊急の会合を開いたが、決め手はない。しかし、各国の経済的な結びつきは大きく、且つてのようなすべて白とか黒とかいうことではなく、成長した産業界が、それぞれの価値観で動き出す気配もある。
 UBMグループでは、10月に介護、福祉、医療などをカバーする展示会「ケアショー」(8月22、23)のキックオフミーティングを上海で開催する。中国の高齢化は急速であるが、その対応は極めて遅れていて、日本の技術がハードからソフトまで求められている。日本サイドも開発コストの回収に向け、中国市場は魅力あるものとなるだろう。既に、UBMではベビー分野の展示会を上海(規模は東京ビッグサイトと幕張を合わせたような)で成功させ、ムンバイ(来年)でも展開する。わが国の優れた商品が、少子化の日本に止まらず、広がりを見せることになる。リスクも大きいがスピードが早いのも同国などアジア市場の特長である。


 そんな中、先月は重い足を引きずり、香港での会議に参加した。空港からのタクシーでは、返事もしないドライバーに不気味さを感じたが、多くの中国人との話はやはりビジネスであり、その点で価値観は共有できるものであった。むしろビジネスが政治に振り回されている現実にうんざりしているのは誰しも同じで、落ち着けば再開も早いものと思われる。帰りに空港のサプリメント店に寄ると、「日本製」の文字を大きく印刷したパッケージの商品が並び、安心、信頼のサインになっていた。どうやら、新聞報道や日本商品ボイコットの動きは極めて政治的で、消費者には日本製への信頼があるようだ。
 
 改めて日中、日韓のビジネスを進めるのは今がチャンスだと実感した。冷静で慎重な目で相互の理解を進めれば良い。飛行機の中で読んだのは韓国の呉善花さんの講演集だったが、目から鱗で、韓国人はもとより相対的に日本人のなんたるかの確認もできたような。「なぜ世界の人々は日本の心に惹かれるのか」(PHP)などの著書がある。彼女の主張は、韓国ビジネスの入門には必携であり、中国ビジネス入門にも島国日本人には、参考になる。いずれにしても、相互理解には時間と寛容さが必要なのかもしれない。

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