健康産業オンライン

消費者委員会を消費者団体の私物にするな

 自民党政権下で、「産業界と消費者がウインウインの関係に」として構想された消費者委員会は、今や消費者団体と消費者被害弁護士などの独壇場で、消費者の利益とは無縁な議論の場となっている。国民の6割がサプリを利用し、利用している人の6割が満足し、利用者は、健康の維持増進や、栄養補給など予防の目的で利用。また、6割が機能表示を求めている、という消費者調査は、健全な消費者の姿を映し出しているが、その声は当の消費者委員会で握りつぶされたままだ。また、7,000万円の国費が投じられ、多くの専門家が取り組んだ評価モデル事業は、ゴミ箱に捨て去られるのか。
 
 13日の委員会は有用性についてのヒアリングだったが、相変わらず委員の我田引水の誘導が目立ち、評価モデル事業など有用性の取り組みは一顧だにされなかった。消費者アンケートでも利用者は有用情報の開示を求めていたが、届出制などの議論に矮小化され、無視された。公聴会に出た傍聴者は「ipad」を知らない人たちが「ipad」の使い方や問題点を議論しているような違和感を覚えたことであろう。
 
 そもそも、健康食品の議論は、超高齢社会の到来でセルフメディケーションをどうするかという課題の中で行われてきた。厚労省の健康日本21が事実上の失敗に終わり、特定健診制度も当初プランは大幅に遅れている。その一方で、人間ドック学会は、健常者の割合いが過去最低の8%弱に落ち込み、肝機能異常などは過去最高の3人に一人となるなど、疾病予備軍の増大化と健康政策の破綻が明らかになっている。鳥取大学の渡辺文雄教授は、50歳から始まるビタミンB12の不足について、胃酸などの分泌機能の低下をあげ、食事を充分取っていても不足する場合があるとし、年配者の1~2割が欠乏症だという米国の調査を紹介した。不足は神経障害や歩行困難などの障害をもたらす。
 国民がこうした情報を手にし自ら健康保持、予防に動こうとする時、消費者委員会はどのような責任を消費者に約束できるのか。国民の健康にかかわる課題であるだけに、権利を奪うようないい加減な議論は許されない。

行政・業界ニュース

企業ニュース

特集

PAGE TOP