このところ、どこに行ってもハラル認証セミナーが人気で、多くの人が集まっている。具体的にはアラブやイスラム圏というよりは、インドネシアなどを視野にいれた動きと言える。中国問題をきっかけに、国際化の議論が健康産業界でも盛んだ。どの国でもどの地域でもそれぞれリスクはあり、海外市場は国内市場とは異なるという認識が必要である。戦後60年以上もの間、戦争もなく平和に暮らせた我が国とは異なる。
それでも、人口の減少や高齢化で、築きあげられた技術や製品は魅力あふれるものが多いとなれば、海外市場を求めるのは当然である。サプリメントでも、製剤技術は医薬品に準じ、飲みやすい極小のカプセルなどから、ゼリー飲料など、安全で魅力あふれる商品は少なくない。
我々の場合は、展示会を運営しながら国際化の問題を考えている。海外からの来場者、出展者が立ち往生してしまうのが日本市場である。彼らは英語ならどこでも通じると確信している。我々も中国の展示会に行く時に英語対応の準備をしていると、中国語しか通じないローカルな展示会で途方に暮れることがある。同じことを、我々も日本の展示会でやってきた。国際化は急務だ。加えて、上海では今年から介護福祉分野の大規模な展示会がスタートし、日本企業の海外市場へ進出するお手伝いをしていく。
しかし、これまで国際化が遅れたのはなぜか? 日本市場はとても素晴らしい市場であったということだ。人口は世界で10番目、その中で先進国というと米国しか見当たらなかった。国土面積も世界で62位であるが、少し前のランクにはスペインやスウェーデンなどが並び、小さくはない。大陸棚や排他的経済水域でみると、これまた10位前後の上位に躍り出る。海外企業の参入も言語の壁があり、国内では居心地のいい市場で、海外の商品もどんどん取り入れて国内的にはすくすくと伸びてきた。
ところが、人口の減少が始まり、急速な高齢化が進み、改めて次は国際市場だと動き出すと、シャープやパナソニックなどのガラパゴス化したメイドインジャパンの自信作が、韓国のサムスンや中国のハイアールに次々と完膚なきまでに叩きのめされ、改めて国際化とは何かという問題に直面している。考えてみれば、台湾も韓国も国内市場は小さく、スタートする時から、世界標準で進んでいる。最初にリスクを取る仕組みが日本企業にはないのかもしれないが。
救いは健康産業界の逞しさだ。素材メーカーはどんどん海外に市場を求めている。中堅企業では、海外出張が若手の仕事になっている。毎年英語の実力テストをする会社も出ている。買収や提携もあるが、まずは安全性や商品設計の素晴らしさを武器に、海外市場に打って出たいものである。ロシアでもサプリメントが好調とのニュースが、本紙で紹介されている。
ガラパゴス化したサプリに商機がある、我々も、そのお手伝いができる時代に突入した。