機能表示の実現に向け、官邸も産業界もにわかに慌ただしくなってきた。エグゼ会議の駒村純一代表は、「とにかく産業界を一つにまとめ、成果を勝ち取っていく」とし、産業協議会や通販協、日健栄協などとの会合を重ねている。日経などの取材も増え、エグゼ会議では応援団を要請したところだ。
4・13事務連絡をきっかけに設立されたエグゼ会議が、かつて機能表示の実現に最も近づいたのは、石崎岳議員のもとに70名の議連が設立された時点である。当時、長勢議員などの尽力で、厚労省と(1)4・13事務連絡の撤回、(2)サプリメント法制定の可否などについて意見交換をし、具体的な回答を求めたところまでである。選挙ムードが高まり、民主党圧勝のムードで、超党派の議連が機能不全となり、厚労省も約束の履行を迫られる前に、攻める方の議連が瓦解した。
それに比べれば、今回はさらに大きなチャンスが横たわっている。成長戦略は6月にまとめられるが、それに向け、官邸も行政も産業界も動き出している。業界側がどのような可能性を説明できるか。健康食品の機能表示は、その先にサプリの活用と健康寿命の延伸、また、医療費の削減や海外市場への輸出など、日本の再生プランがある。幸いマーケットは先行して進んでおり、国民の6割がサプリメントを利用し、消費は7割を50才以上で占めるなど、サプリメントと中高年層の親和性が高い。
既にわが国の高齢化は65歳以上の人口が3,000万人を超え、総人口が減少する中でこの年代層の増加が向こう20年間以上見込まれる。当然、医療費や年金などの社会福祉コストの拡大も予想されるが、それだけに、健康寿命の延伸やそのための余暇・レジャー産業への誘引、高齢者の雇用拡大などで、金融政策以上の期待が出来るとすれば、成長に向け政策転換は必至である。
安倍総理も健康寿命の延伸など健康への関心は殊更のようであり、高齢者の雇用活用、レジャー分野への誘引などで、消費の拡大と医療費の削減、海外市場の開拓の三兎を狙う健康ビジネスをどのように実現するか、いずれにしても成長戦略の柱はここにあるような気もする。
株価や為替ではないが、機能表示は、成長戦略としては健康産業の一合目にすぎない。