新聞各紙は、病院にかからない70歳以上の高齢者に10万円を支給しては――という麻生副総理の発言を一斉に報じた。たまたま九州で、健康食品メーカー各社に取材していたが、この発言内容に大歓迎の声が相次いだ。
前段に、70才以上の年間医療費が100万を超え、国民医療費は税収と同額の40兆円台に迫るという現状があり、高齢者の増加で、医療費の増加はさらに加速するという現実がある。
具体的な医療費削減の政策がない中で、政治も行政も無責任なばらまきと先送りを続けている。医療費削減の健康手当が実現すれば、効果的な政策になるのではとの期待もある。国民皆保険は、世界に誇れる国民生活重視の制度ではあるが、唯一問題点は、自立的な健康や予防への意識、セルフメディケーションの意欲を育てないことだ。豊かな社会であっても、健康に留意し、自律的に生きてきた高齢者には、暴飲暴食の成れの果ての糖尿病や、生活保護費が酒やタバコに費やされた結果の生活習慣病に、また本人の意志でもない延命措置のばらまきと医療費支出に疑問を感じており、それらの付けを支払わされる若者や健康な高齢者の不満は拡大している。
もし10万円でも健康手当として支払われれば、健康に留意し、努力した人への還付金であり、胸を張って受け取れる。ウォーキングやジムに、温泉や旅行に、そしてサプリメントにと夢は膨らむはずである。多くの高齢者が同調すれば健康政策の推進になる。「健康はモチベーション、医療はセフティーネット」とは、経産省の徳増氏の口癖だが、まさにモチベーションが医療費削減に役立つなら、健康手当は国民皆保険の弱点を埋め持続可能とする奇策である。
歯止めがかからない医療費に待ったをかけ、高齢者が、元気に働き、余生を楽しめる社会。麻生副総理の発言は、度々マスコミの餌食になるが、ことの本質は国民の危惧や不安に極めて近い。むしろ、あまねく医療費をばらまく今日の垂れ流しへの批判は、日本の将来を憂う良識的な国民の声を代弁するものでもある。
医療費を削減し、国民を健康にする健康手当の支給に、大きなモチベーションと可能性を感じるのは、我々だけだろうか。ぜひ実現にこぎつけて欲しい。