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機能表示市場導入 最後のチャンス

 血流改善機能の期待できる北海道産玉ねぎが、機能をイメージ出来るネーミングでよく売れたり、やずやのニンニクのブームで、産地の青森のニンニクの値段が上がったり、健康機能は最大の関心事である。消費者が食品を選ぶ際に、かつては食欲を満たすことで始まり、次には美味しいものを、そして栄養価のすぐれたものをというような選択肢が、その時代と共に変化し、最近ではゼロブームや、冗談のような三ツ矢サイダーが売れるという話まで、情報がものをいう時代である。とりわけ機能表示は、消費者委員会の消費者調査でも、過半数のサプリ利用者が求めていた情報で、商品選択に不可欠な情報であるのだが。
 しかし、サプリメントなどの機能表示は、薬事法を根拠に排除されて続けてきた。その二条に、医薬品の定義があり、身体の機能構造に影響を及ぼすものを医薬品としている。十分条件か必要条件かは不明だが、いつしか、“身体の機能構造に影響を及ぼすものはすべて医薬品であるべき”とし、目にいいとか、膝にいいとか書くと薬事法違反(都は階段の上り下りも薬事法違反と説明)と決めた。一方、健康増進法でも、著しく虚偽・誇大を取り締まるとし、生姜が体を温めるなどは科学的根拠なくしてはまかりならぬという事で、地方で農産物を扱う農協関係者も法の乱用にうんざりしていた。しかし、法律の解釈がどうであれ食品が身体の機能構造に影響を及ぼすのは至極当然で、食品の代表的な機能の一つでもある。
 機能表示で、理不尽な重い扉をこじ開けたのは、今の安倍内閣だ。医薬品のネット販売などを決めた規制改革会議では、機能表示についても、その実現に向け大胆な提案を示した(詳細本紙)。機能表示も薬事法の拡大解釈で、食品や農産物は表示できず、消費者は商品情報を入手できず、それらの経済損失は計り知れないが、それだけに期待される経済効果も計り知れない。産業界は機能表示の実現にあたり、厚労省などの抵抗が、医薬品の時と同じようにあることを自覚しなければならない。規制改革会議の方針・機能表示を実りあるものとするために、高齢者寿命の延伸などの国家的課題も視野に、業界が一つになり、ことに当たることが肝要だ。チャンスは一度だけであり、失敗は許されぬ。

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