相次ぐ台風の被害で九州は米不足といわれている。思えば今年は悲惨な事件や事故が続出した九州だったが、それに反して健食市場はよく善戦した。新興勢力の通販メーカーが大きく台頭し、健食マーケットは対前年比で7%の伸びを示している。関係者によれば、薬系チャネルもやや回復の兆しにあるようだ。といっても地場大手量販ドラッグ、中央のドラッグ、中小の薬局薬店がしのぎを削る構図は当分終わりそうもない。食系の動きは低迷している。何より自然食品店の元気がない。またデパートや量販店もTV報道の影響をまぬがれない。ポジティブな影響ならよいが、ネガティブ情報が経営を左右しかねないのが心配。地元の商店街は大型SCの進出に恐々の態だ。無店舗系に関しては、最も大きなマーケットを形成しているのが通信販売メーカー。県境をまたいで、中央とも自由に交通できる強みを背景に独自のノウハウを確立している。また地元との結びつきも大切にしており、社会貢献事業を積極的に推進する企業が多い。今年の福岡シティマラソンのメインスポンサーには、新日本製薬がつくことが決まっている。製造メーカーには1社1素材で職人気質な会社も多い。とことん1つのことを突き詰めようとする風土が九州にはもともとあるのかもしれない。ローカルなだけに地元との結びつきを大事にし、地場特産品の育成、地場産業の振興にも熱心で、産官学タイアップの取り組みが多い。佐賀、熊本、宮崎、鹿児島と自治体と大学、大学と企業、企業を支援する自治体という良好な関係が築かれている。地場特産品の機能性開発においても県の試験場や大学に企業から社員が出向するケースが数多く見られる。