台湾の取材で、短期間で二度ほど往復することになった。その中で浮かび上がってきたのが、急速な円安の影響だ。国内でも、4月から小麦やパンなどの加工品、植物油などの値上げが相次いだが、台湾にきて、改めてクロレラ原料や化粧品について話を聞くと、為替の影響は深刻だ。
クロレラの場合、最盛期30t程あった培養メーカーも三社ほどに絞られ、供給量も限られてきている上、タンク培養の韓国勢を巻き込み価格競争が熾烈だった。その分、利益が得られない構造が広がっていたわけだが、いよいよ「(各社とも)損をしてまでは出荷出来ない」とし、値上げラッシュが始まっている。二回に分けて値上げを行うケースも少なくなく、それでも「一回分は、為替差損の穴埋めで終わった」(関係者)というのが実感のようだ。実に2割の円安で、生産各社はもとより輸入企業も極めて厳しい環境にある。
通関量もこの半期では落ち込んでいるが、一方で「国内企業への問い合わせが急増している」ようで、ユーザーが値上げを避けて、国内産が調達できないか探し求めている様子も見えてきた。 一方で、台湾側も、これまでの日本重視から、中国や東南アジアのユーザー獲得に動いている。販売価格は日本よりも格段にいいという。将来性への期待も大きい。供給量が絞られてきていることから、アジア市場が広がれば、原料の確保が難しくなることもないわけではない。
また、国内では、クロレラの新たな用途とし青汁などへの採用が進み始めている。機能表示問題を先取り、青汁の差別化素材としクロレラに期待する向きもある。そうしてみると、競争の激化で、軟調に推移してきたクロレラ市況が一転、価格の上昇、原料不足の状況が生まれる可能性も。
健康食品産業も輸入品は原料も製品も一律に、円安の洗礼を受け、国内の販売メーカーも厳しいデフレ環境で勝負をしているが、相手国の状況からすれば、「日本だけが市場ではない」として、比較的関係のいい中国や東南アジアへの開拓も進んでいる。台湾はアジアの中でも日本と関係のよい国ではあるが、為替問題のツケを相手国に回すだけでは解決しないグローバル市場の難しさが露呈している。