曖昧な表現からエビデンスに基づく機能表示へ、護送船団型表示から企業責任による機能表示へ、サプリメントの機能表示制度のあり方が、大きく変わろうとしている。欧米の流れに沿うもので、TPPなど市場開放の流れもある。とはいえ、消費者の身の回りは案外機能表示で溢れている。
サプリメントでは、これまでの規制の弊害としての曖昧な表現から、根拠があれば明確な機能表示で使用目的が判断できるなど、消費者には誤用や過剰な期待から解放されるメリットがある。もっとも、日経の連載で、月に10万も支出する大学教授もいるらしいから、問題が起きないわけでもないが。
平成26年度の実施以外に具体的な内容はまだ決まっていないが、現時点では素材ベースの機能表示を進めて行く議論が先行しているようだ。また、消費者庁は第三者認証に関心を示していないが、中小企業も多く、最終的には集約的な機関での対応も必要なのか。すでに、日健栄協や地方の認証団体、統合医療組織などが検討を進めている。また、機能表示と言っても、抗酸化表示など米国市場では溢れているわけで、様々な表示が出ている可能性もある。
いずれにしても、業界あげてという話ではなく、企業責任でというのが基本的なポイントだ。当然、広告宣伝のあり方、機能研究への費用の掛け方も大きく変わるはずである。ひょっとすると販売チャネルの転換を迫られるケースさえあるかもしれない。詳細はまだ分からないが、示唆する発言は消費者庁や周辺から少しずつだが聞こえてくる。
考えてみれば、企業が自己責任で機能を表示するというのは極めて当然のことで、サプリメントを除けば家電製品やパソコン、携帯電話から車まで、およそ機能をうたわない商品はない。水をつかわない洗濯機、音声認識の携帯電話、衝突を回避する車など。機能表示の議論では、消費者庁が産業界を見ている景色と、産業界が消費者庁を見つめる景色は、片思いほどに違うという認識が先ず必要かも知れないのだが。