AIFNの法規制シンポに続き、食品開発展でも機能表示に関するセミナーに多数の聴講者が集まった。これまで規制緩和の追い風をどのように受け止めるかという議論が第一幕とすれば、影の部分を如何に捉えるかの議論が広がり、舞台は二幕目に移り始めた。
7日のAIFNのシンポジウムでは、「米国型の機能表示制度を導入した場合、海外勢の参入で、日本企業はメリットを享受できないのではないか」と言った質問も飛び出した。説明では、当然海外企業の市場参入もあるが、日本の優れたサプリメントが海外に出るメリットも大きいのでは、とされたが、国内にとどまる多くの企業に課題は残った。
一方、食品開発展で講演した大阪大学の森下竜一氏は、機能表示の目的として、①海外との制度の違いをなくし、日本のサプリメントの海外進出を促進する、②セルフケアの拡大で医療・介護費を抑制する、などをあげる一方、制度設計では「米国では構造機能強調表示は発売後30日の申請だが、訴訟を回避しようとする企業の自己規制が働いているが、日本は訴訟が起きにくく事前の届け出が必要ではないか」と消費者庁の消費者保護の検討を後押しした。
また、企業プレゼンでJ-PORT社の白石義明社長は、「アベノミクスのモデル、米国型機能表示(中略)、DSHEAの現状と問題点」で講演、構造機能表示などの導入では、FDA専門法律事務所の弁護士に表示問題が託されている。日本にはそのような制度はない。また同表示には、①販売後30日以内のFDAへの届け、②FDAの関与否定声明文の掲載、③真実で誤認されないデーターの保持、が条件だが、③はあくまでも訴訟への備えであり、日本の企業との違いは大きい。行政も、メーカーと消費者の争いには関与しない。それでも、2012年、お目付役のHHSが実態調査をしたところ、行政のチェックはほとんどされておらず、2 割ほどで、疾病に言及した表示が見つかるなど問題点は少なくないと指摘、和魂洋才の覚悟が必要だとした。
機能表示導入は前提であるが、予想以上に様々な問題点が浮かび上がり始めており、第二幕は、消費者保護とそれこそが真面目な企業の生き残り条件でもある機能表示の課題の徹底的な検証と対策がテーマとなりそうだ。