「健康長寿、医福食農連携でチャンス拡大を」(農水省・林大臣)
10月15日、農林水産省は都内で、厚生労働省と共同による「医福食農連携事例発表会」を開催した。
農林水産省では、機能性をもつ食品の拡大、介護食品の開発、薬用作物の国内生産の拡大、農作業を活用した障害者・高齢者への支援等、医療・福祉分野と食品・農業分野の連携強化を推進する。
当日は、各分野における先行事例や関連施策を説明。約200人の関係団体、事業者が参加した。
開催に駆けつけた農林水産大臣の林芳正氏は「高齢化が加速するなか、ピンチとみるか、チャンスとみるか、まさに医福食農の連携強化をチャンスと捉えることができる」と力強く語った。
「垣根を取り払い、新価値の創出に期待」(農水省・皆川事務次官)」
近年、医療や福祉分野と連携した、食品、農業分野の取り組みが進んでいる。
6月に閣議決定された日本再興戦略においても、「医療福祉等の異業種連携等により、農業のイノベーションを起こし、付加価値を高める」等、医福食農連携の強化・推進が位置付けられている。
また、農林水産省は、2014年度予算の概算要求の新事業として、「医食農連携推進環境整備事業」( 8 億円)、「介護食品普及推進事業」(5,000万円)を盛り込んだ。
「医食農連携推進環境整備事業」では、医食農の関係者が連携し、食と健康の因果関係を科学的に分析・調査し、食産業の市場規模拡大と健康長寿の実現を図る計画。
こうしたなか、情報共有、関連施策などの周知を図ることを目的に、今回の開催に至った。
冒頭、農林水産事務次官・皆川芳嗣氏が登壇。「農林水産省と厚生労働省が協力してこうような場を設けたのはおそらく初めて。それだけ、両省の思いは非常に強いということ。垣根を取り払い、連携を深め新しい価値が続々生まれてくることが可能性として大きくなる。我々の一番の望みである“健康で長く生きたい”という思いにふさわしい日本社会につながっていくことを願いたい」と新たな試みに期待感を示した。
会場には、農林水産大臣・林芳正氏も駆けつけ、「少子高齢化が進み、2050年には1億人を切るという推計も出ている。この状況をピンチとみる、かチャンスとみるか、まさに医福食農の連携強化をチャンスと捉えることができる。さらに、我が国は高齢化先進国。現在の課題について答えを出せば、今後、同じ道をたどるアジアをはじめとした諸外国に大きなソフトの提供につながるはず」と参加者へ呼びかけた。