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【主張】 健康法は“体の声”を聞いて

 健康に関する取り組みは実に難しい。エビデンスという切れ味のいいナイフで処理すればなんでも解決できると信じている人も少なくないが、できるなら片付いている話だ。直面する機能表示問題も、科学の視点と健康寿命の延伸という視点は必ずしも重ならないことに注意しなければならない。
 


五木寛之さんは、帯津さんとの対談など健康に関する著書も多く、ご自身も偏頭痛などを克服している体験から、乱立する健康法や二分される医学情報の中で何を選ぶかは、「体の声を聞く」ことが大切で、万人に共通する健康法はない(日本綜合医学会)と呼びかけている。その理由として、「唯我独尊、世の中に自分は一人しかいないので、それを大切にし、常識は全て疑い、自分の体の声を聞き、自分の覚悟(自己責任)で、自分に合った健康法を見い出すことだ」と。
 昨今の健康情報の乱立や、医学の変遷についても、小泉元首相の発言を待つまでもなく、常識が変化するという事実を受け入れることが前提だ。かつて傷口の処理は、洗浄し消毒薬をつけるのが医学常識であったが、今は水道水で洗い、ラップで巻き、乾燥させないことが常識で、医者も半数位はそのような指導をしていると。逆に検診などでの放射能被爆では、日本の医学界は、そうしたリスク情報を十分に開示していないと指摘する。栄養学についても千日回峰行などは、修行僧の運動量や断食や断水で、摂取カロリーとエネルギー消費の関係など調べて見るように言っているが、栄養学の常識では計算不能であると。
 一方で、民間療法的な健康法が溢れているが、それも唯々諾々と受けいるのではなく、批判してかかれと。科学的データを元に笑うことが健康にいいというが、慟哭する人の心の調査はしていない。大地に身を投げ出して泣く、そういう人が心から笑ったらやはりいいのだ。喜怒哀楽、全て溜め込まないことが健康にいいのではないか。また、うつだが、時に心が萎えるのは大切な機能で、萎えれば折れない。水の補給も同様で、夜眠れないのも困ったものと。偏頭痛に悩まされ、医学書を読み漁り、気圧との関係に気がついて対策をされた同氏ならではのご意見である。
 75歳から90歳を生き直すには心と体が大切だいわれ、ご自身も片足立ちなどロコモ対策を紹介しているが、超高齢化社会は90歳までの心と体の健康の物差しを示すことが必要だ。

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