機能表示制度の市場導入に向け期待が高まり、市場規模が拡大するなどの憶測も飛び交っている。「週刊東洋経済」11月30日号では「健康食品のドラッグストアーでの売り上げは10倍の二兆円になるだろう」(日本チェーンドラッグストア協会・宗像事務局長)や、「『血圧が気になる方に』『血糖値が気になる方に』といった症状別の売り場作りの実験(ココカラファイン)」などの記事を紹介し、2015年の市場導入を先取りする機運の高まりを伝えている。
しかし、米国型の機能表示制度を参考に、消費者保護を織り込んだ制度をという消費者庁の方は「何も決まっていない」といっていた10月以降、レストランの食品表示偽装の騒動で、それこそ、作業が進展している様子はない。特保審査見直しや新たな食品表示基準など処理する案件は山積みだ。
そもそも、第三者認証は民間でと事実上の不要論をぶち上げ、表示の具体事例などガイドラインは消費者庁で、としてスタートしたものの、本家の米国は有力企業が参加するCRNなどの団体が、FDAと連携を取り、セミナーを開いたり、ロビー活動を展開し、機能表示への取り組みを進めてきた経緯がある。
日本抗加齢医学会や11成分の評価モデル事業を受託した日健栄協、地方自治体の機能表示で動く連絡会や、抗酸化表示(農産物が中心だが)に取り組む組織など、独自の研究成果を積み上げる団体等の活用を促す声も、あちこちから。安全性議論も阿南長官や厚労側から懸念の声があがっているが、米国型を施行するなら、GMPは2 つの制度を整理、調整すればいい状況で、安全性ガイドラインは既に厚労主導で作られている。GRASなどの課題はあるが準備はそれなりに整っている。
消費者庁は、機能表示の導入に際し、企業責任を主眼に置いているが、第三者認証は、第三者評価などに置き換えれば、企業責任の明確化も可能だ、との指摘もある。幸いに、業界に乱立していた団体は産業協議会で一本化され、有力企業を一堂に集めた米国のCRNに類似した、行政や消費者とのコミュニケーション、ロビー活動など幅広い取り組みも可能になる。
2015年の導入に向け、第三者評価も含め、柔軟な対応が必要かもしれない。米国もDSHEA施行後、改正や修正を繰り返し、目的に近づく努力をしているのだから。