診療選択の多様化に応える新たな制度望む声
規制改革会議公開ディスカッション「保険診療と保険外診療の併用制度」が先月28日、都内で開催された。
冒頭、厚生労働省より、現行上の保険外併用療養費について「先進的な医療技術は、安全性や有効性を個別に確認した上で、先進医療制度等の枠組みの中で、保険診療との併用を認めている」と説明。
金沢大学大学院教授の土屋弘行氏は、「悪性骨軟部腫瘍に対するカフェイン併用化学療法」を報告。
製薬メーカーと相談して薬事申請を行うよう通達した厚労省に対し、「製薬会社からは、安価で特許もなく、投資資金回収上、採算が取れないので薬事申請できないとの回答があった」とし、「生存率の向上、手術の進化等で有効性が認められながら、現行の先進医療制度では、特許もなく商業ベースに乗らないものは消え去る運命にある」と語った。
規制改革担当大臣の稲田朋美氏は、土屋氏の報告を受け、保険診療との併用が認められている評価療養と選定療養に触れ、「評価療養になったが保険適用されないケース」について、保険外併用療養で使い続けられる仕組みについて問題を提起。
大阪大学大学院教授の森下竜一氏は、「本来、保険で認められている医療も、+アルファで保険外診療も併用したら全額自己負担になるのが現状。患者は自身で治療を選択したいという思いがある。評価療養における安全性と有効性の線引きをどうするかが問題」と指摘。
他の委員からは、併用のあり方が将来の保険収載を前提としている点を疑問視する声や、高額医療費を払える人が助かり、払えない人が助からない現状に対する意見も聞かれた。