超高齢社会を迎え、健康寿命の延伸が大きなテーマとなっているが、19日開幕の「メディケアフーズ展2014」(併催「IMEC2014(統合医療展)」)も、会場前には10時から来場者の長蛇の列ができ、終日、立錐の余地のない賑わいで、改めて高齢者食、介護食、医療食などへの関心の高さに驚かされた。
背景には人口減少の中での高齢者人口の増加、介護施設中心の介護から在宅ケアへの広がりがあり、流通大手も品揃えに動くなど、これまでの病院、施設中心の流通が店舗などから在宅に拡大することが大きい。これを受けて、メーカー各社も商品開発を加速させ、市場確保に乗り出した。
政府も医療費の抑制に向け、自助、共助、公助の方針を示し、セルフメディケーションの推進に動き出した。農水省の調査も、在宅食、在宅高齢者食などは、膨大な潜在需要があるとしメーカー、流通なども呼応する動きをみせている。食品メーカーは人口の減少と高齢者の増加という構図の中で、高齢者市場に入るか、海外市場に出るかの選択を迫られている。ただ、高齢者市場は、東南アジアでも同時進行的に広がっており、我が国での取り組みがそのまま、シンガポール、台湾、韓国などのアジア地域で受け入れられる余地もある。
会場には、介護施設や病院、流通関係者に加え、大手電鉄や家電メーカーなど、幅広い異業種の来場も相次いでおり、出展者の説明や試食提案などに足を止め、各所で熱心な商談が行われていた。また、産業育成の投資会社やアジア各国からのバイヤーも増えており、幅広く国内外で関心が高まっていることが特徴だ。一方、高齢社会のネ
ットワークが形成途上にあることから、出展者同士の交流も盛んで、商談会が来場者に限らず、出展者同士の交流も広がっている。会期中は、医療食、高齢者食から、統合医療などの各分野のセミナーも数多く企画され、高齢者市場について、様々な角度から大きな可能性が紹介され、高齢者市場は数少ない成長市場であるという皮肉な現実に直面している。