京都産業大学の松夲耕三教授は、先月4 日の全国ローヤルゼリー公取協総会で講演し、糖尿病患者の増加と車の普及のグラフを重ね、右肩上がりの糖尿病の現状と研究中のローヤルゼリーの機能に言及した。同氏は、大学内にミツバチ産業科学研究センターを発足し、ローヤルゼリーや蜂蜜の研究を開始したこと、目立った成果は出ていないが、役立ちそうなデーターも出てきたと控えめに話を始めた。結論としては、ローヤルゼリーの血糖値と肥満に関する効果についての研究で近く論文発表する。
講演の前提として、成人型糖尿病(2類糖尿病)に触れ、近年増加の一途で患者数は900万人から1 千万人と推定されること。50年前は十数万人と推定されており、100倍にも患者数が増加、その原因が肥満だと指摘。その冒頭で、車の普及と患者数の増加のグラフが示された。まさしく生活習慣病というべきか。実際、肥満の増大に比例して、糖尿病患者が増えていると。更に、糖尿病は合併症だけでなく、心筋梗塞、アルツハイマー、脳梗塞などは糖尿病患者に発症が高いことなども紹介された。
糖尿病の引き金となる肥満の克服は、最重要課題で、医療費の削減や健康寿命の延伸に大きな効果をもたらすはずだが、啓発不足により、病院を訪れる患者は存外少ないとも指摘する。まさしく生活習慣病は静かに忍び寄るわけだ。同氏の研究はここから、①ローヤルゼリーの体重(肥満)に及ぼす影響、②血糖値に及ぼす影響の研究に入るが、①では、肥満性糖尿病マウスの肥満にRJ投与が若干ブレーキを掛けたこと、②では、RJは空腹時並びに糖負荷試験において、血糖値を押し下げる作用がある、などについて詳細な研究経過が紹介された。
近年、農芸化学会などでも数多くの機能研究がなされているが、予防は医療分野という枠組みから事実上、医療も対策が遅れ、空白になり、その結果増え続ける糖尿病や予備軍の実態がある。運動や食事、サプリメントなどから様々なアプローチができるようになれば、肥満や高血糖に対する消費者の知識の向上と、行動変容が期待でき、結果としての健康寿命延伸ができるのだが。まさに車の増加と糖尿病の増加のグラフは象徴的だと言えそうだ。