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【主張】 サプリの安全性確認は、安全性ガイドラインの活用が合理的

 機能性表示制度の議論が進む中で、安全性確保に向けた方針が明確化しないと、企業は手を挙げられない。日本でサプリメントの安全性確保に向けた取り組みのベースとなっているが、2005年2 月に厚労省が通知した「錠剤・カプセル状等食品の原材料の安全性に関する自主点検ガイドライン」と「GMPガイドライン」だ。厚労省が2008年7 月にまとめた「健康食品の安全性確保に関する検討会」の報告書を受け、健康食品認証制度協議会が09年7 月に発足。10年4 月には、日健栄協が健康食品の安全性確保に関する第三者認証制度の認証機関の指定を受け、現在、原材料145品目、製品11品目が安全性自主点検認証を取得している。
 振り返って、1994年の栄養補助食品健康教育法では、1994年の施行前に流通していた健康素材はGRANDFATHER物質とし一応安全とした上で、以降のものをNEW DIETARY INGREDIENTとしてヒト試験などの安全性試験を義務付けた。過去には米国市場における昭和電工のL-トリプトファンの事故などの教訓もある。
 我が国で、機能性表示を導入するに当たり、安全性の確保をどうするかについての基本的な見解は、現時点では食経験の有無で区分けし、ないものはトクホ評価に必要な試験の実施を求める対応方針案が示されたが、問題は食経験の有無の判断である。食品であれば、食歴がそのまま当てはまるが、食経験の物差しに合理的定義を示しにくいのがサプリメントである。クロレラやローヤルゼリーなどは十分な食経験を満たすと、産業人は考えるが、科学者はどう見るのか?
 機能性表示には独自のヒトによる安全性試験が求められ、それ以外のサプリは安全性自主点検ガイドラインで良いというのも消費者にはわかりにくい。2015年以前に流通している素材について、機能性表示を行う場合は安全性自主点検ガイドラインを、また、それ以降の新規物質は新たな安全性試験をという義務付けで、米国との整合性を図るしかないのではないか。安全性自主点検ガイドラインは比較的簡便で且つ、安全性のベースは確保できるわけで、厚労省サイドでもガイドラインの通知の変更等の予定はないという。
 いずれにしても、安全性や有用性のチェックを企業責任で行うにはタイムリミットがあり、消費者庁は、先ず安全性試験への取り組みについて、指針を明らかにする必要がある。安全議論が暴走し、食経験のないものは何でもヒト試験などとなると、安倍政権の成長戦略として打ち出された機能性表示議論が、産業界の発展を損なう重大な障害となりかねない。

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