消費者庁の2 日の検討会では、特保や栄養機能食品の制度存続が改めて確認された。機能表示の導入で、「特保制度がなくなるのでは」との疑問が産業界に広がっていたため、これにより、国のお墨付きは特保・栄養機能食品制度で、また、機能表示制度は企業責任でという二つの制度が並立することが明確になった。
同時に、機能表示制度のハードルも引き上げられたような印象がある。具体的には、科学的根拠のレベルで、これまで素材ベースのデータが使えるとしていたが、「製品ベースでのヒト試験や、(医薬品で使われる)システマティック・レビューなどの概念の導入」が提示され、一方で、メーカーの自主的な研究成果が客観性という点で退けられる可能性も出てきた。米国ではN I Hが膨大な予算を投じ、サプリメントの機能研究を進めているが、我が国ではそのような取り組みは皆無に等しく、中立的な研究データも少なく、世界で一番どころか「世界で一番遅れた機能表示制度」となる危惧さえ出てきた。
今回は、機能表示の対象、可能な表示の範囲、科学的根拠のレベルなどが示され、機能表示制度の全容を考える本格的な議論のたたき台が示された事になるが、この夏には全容がまとめられるわけで、議論の時間も少なく、産業界の命運は消費者庁に握られた格好だ。また、外資系企業などで期待の膨らんでいた米国のサプリメントの日本上陸にも暗雲が立ち込めている。ビタミンやミネラルは栄養機能食品が存続することで、摂取基準を上回る米国のサプリメントに機能表示の余地はない。米国で機能表示が行われているサプリメントの上陸もスムーズにはいかないかもしれない。また、多くの企業が素材ベースの機能研究を進めてきたが、製品での新たなヒト試験となると、作業は大幅に遅れそうだ。事実上の第三者機関ともなるシステマティック・レビューの受け皿はどうなるのか?
そもそも、中小企業が排除されてきた特保制度に対し、中小企業に門戸を開くはずの機能表示制度が、第二特保化してしまえば、新たな機能表示制度でなく、特保制度の充実でことは足りるのではないかとの声も聞こえる。宮島委員もJADMAのセミナーで「シンプルな制度、使い勝手のいい制度で、消費者にわかりやすいものでないと誰も使わない」と発言している。保健機能成分という言葉も気になるが、次回には、そうした議論が整理されるのか、注目が集まる。